艮為山(ごんいさん)
六四卦五二番目に位置するのが、艮為山(ごんいさん)となります。艮為山(ごんいさん)は、䷳は陰爻、陰爻 陽爻の3段が2枚重なった形となってあらわれたのが艮為山(ごんいさん)となります。
陰爻は母性です。母の愛、姉たちの愛を受けて育った3男坊は、甘え上手。愛されて育った子供は、愛情をよく理解し、自分が愛されたように他人に愛を返すことにためらいがありません。自己肯定感が強く、良く愛されたことを認識し、自分を大切にできます。愛は、不動であり、美しさを返します。山は不動でありながら、季節により美しさを返してきます。また、荒々しさの中に包み込む美しさを秘めています。陰爻としての母性をよく受けて、父性を冠として包まれたのが、☶(艮)です。山はとどまることではありますが、山が高い分、地下から大いなる気が上昇していることを意味します。ゆえに、不動と言っても、内心は元気によく動いています。ゆえに山には命が宿り、多くの命をやどらせていることを知るべきです。
艮為山(ごんいさん)のイメージ
艮其背。不獲其身。行其庭。不見其人。无咎。
「艮」は背中に止まる。さすれば、動くことに惑わされない。庭に行っても人と比較することはない、天意に従え。
艮卦の象徴するのは、山、三男、末っ子、静止、慎重、誠実、後継者、宗教家といった意味を持っています。山は、不動で動かないものでもありますが、それは、見た目で判断できないものがあります。
この山の静粛の時間の流れが通常と違うことを知るべきです。時間は人が認識するように決めた規則であるため、とどまることはすべて動かない、変化しないと思うのは、一瞬としてとどまることのできない人間の癖です。天意から見れば、人の一生、100年生きても人の側から見れば長いが、天意からすれば一瞬です。ゆえに、動くことに惑わされてはいけません。
それは、自分と他人を比較してはならないことを意味します。自分の正義がすべてに一致することがありません。自分の常識が、すべてに一致することはありません。 不動であっても生命はい築いています。生命は愛の中にあります。
愛があるので命が生まれることは私たちは体験上よく知っています。愛する夫との間に愛する妻との間に新しい命は生まれます。
真理はだれが見ても変化しないことです。ダイヤモンドがその硬さと輝きで人々にこれ以上の宝石はないという共通点が合えばそれは真理です。金が、金属でありながら貴重であり、プラチナがみにつける金属でありながら、みんながこれはよいものであるとすればそれは真理と言えます。 山が不動でありながら、命の躍動を感じ、富士山は日本人の心を和ませるそういった点では真理です。艮卦は不変不動の山の美しさを通して愛を訴えかけています。
艮為山(ごんいさん)の6爻
艮為山(ごんいさん)から順番に、初爻、二爻。三爻、四爻、五爻、六爻の並びが、初陰、二陰、三陽、四陰、五陰、上陽と並んだ状態を艮為山(ごんいさん)と言います。
六爻の位置は社会的位置を表しています。 初爻は庶民、二爻は士、三爻は大夫(たいふ)、四爻は公卿(こうけい)五爻は、君主、上爻は隠居した君主、あるいは知識人となります。
上陽 静かでいることゆえの悩み。達磨のごとく動かないことが吉 ゆえに不動を全うする。
五陰 じっとして、表情も変化させない。緊張感がある。言葉を慎む時期 時期を過ぎれば悔いることは無くなる。
四陰 じっとしていて、上半身を動かさない。 積極的にうごくことを控え消極的であることが吉を生む。消極的であればとがめられない。
三陽 じっとして三陽は動かない故に、前屈もできないので、背中が張って痛みが走る、いずれ爆発するマグマを内に秘めている危険性をはらんでいる。
二陰 じっとして動けない。三陽がとどまっているため、腰が動かない故 動かないことが不快である、この不快感はたまってゆく地中のマグマがふつふつと動いているが動けない。
初陰 じっとして不動。自己の位置を決め足場を固める。その固めた場所を守ってゆくなら。とがめられることはない。