火天大有(かてんたいゆう)
六四卦十四番目に位置するのが、火天大有(かてんたいゆう)です。父 ☰ 乾卦(けんけ)の上に、次女 ☲ 離卦(りけ)が乗っかった卦となります。
上卦は、離卦☲(りけ)です。離卦は両サイドに陽爻を持ち陰爻が陽爻に包まれた形となり、火を表し、家族のなかでは次女を表します。
下卦は、乾卦☰(けんけ)です。乾卦は陽中の陽を表し、天を表し、家族の中では父を表しています。
離卦の彖辞(たんじ)
牝牛(ひんぎゅう)を畜(やしな)えば吉也。【離、利貞。亨。畜牝牛吉。】
離は凛として美しく。牛を表します。その牛を尊(とおと)く思い育てることで、必ずその恩恵は返ってくる。
大有とは
大吉、幸福の中でも最上級の幸福を言います。文字のごとく、大いに有(たも)つことで、すべてを包容(ほうよう)し、盛運(せいうん)が続いているといえます。
朝日が射して幸せという恍惚の思いが最大限に感じるときであり、願いが叶うことを意味します。大有と言うのは、大量に所有する。持っていないものがないというように、あらゆる欲求を満たした状態といえます。
やることなすことうまくいく福の神がついて回っているといえます。
これは火天大有の卦を見ると 父親が次女を持ち上げている状態です。乾卦(けんけ)は天も表しています。また離卦(りけ)は、日 火、を表しています。天が明るく四方八方に輝きを放つている状態です。離卦(りけ)は明るく美しさも表しますので、大有は強い光です。
光がとても強いと影は発生しません。強い光は暗闇を発生しないため隅々に幸運の光をとどけます。幸運の光は愛であり、強い愛はどんなものをも許し、ますので敵対するものもいだき抱きしめようとするため、その強い愛ゆえに、柔軟な愛の包容力により全てが味方へと変化します。千年、万年の恨みを溶かすのは、影をもかき消す強い輝きです。
夏の日差しの強い場所に石があっても 影は消えますし、真上から当たる陽の光は影さえも発生しません。真昼の太陽はその光と強さを持ち、強い愛の光の状態を大有といいます。
火天大有(かてんたいゆう)のイメージ
大有。元亨。
「大有」の時、大いに通じる
「大有」はすべてを明るく照らし、影のない太陽の光。
我利我慾にとらわれ進むことを望みません。船頭の舵を任され、方向を定めるのはあなたです。悪意を持てば、凶に傾きます。
自分の行動の成果が上がります。しかし、自己の才能をおごることなく進めば上昇しますが、謙虚なきものは、吉でなくなります。大いに楽しみ、喜びを共有してゆけば、発展します。
火天大有(かてんたいゆう)の六爻
火天大有(かてんたいゆう)の六爻は、下から順番に、初爻、二爻。三爻、四爻、五爻、六爻の並びが、初陽、二陽、三陽、四陽、五陰、上陽と並んだ状態を火天大有(かてんたいゆう)といいます。
六爻の位置は社会的位置を表しています。 初爻は庶民、二爻は士、三爻は大夫(たいふ)、四爻は公卿(こうけい)五爻は、君主、上爻は隠居した君主、あるいは知識人となります。
上陽 天は、この人を助ける。吉にして万事順調である。
五陰 誠心(まごころ)で人に接し、しかも権力、実力があっても謙虚でありながら存在感を与えている。構えて威厳(いげん)をつくっていない、大いに吉である。
四陽 君主以上の権勢(けんせい)を持つが、自らを自生する。理性を持ち、謙虚に判断し行動すれば咎(とが)めはない
三陽 諸侯[※天子より名を受けた人物]が天子の饗宴(きょうえん)を賜る。小人(しょうじん)はこれに預かれない。不相応な寵遇(ちょうぐう)はかえって害になる。
二陽 責任が重く、道は遠い。しかし、荷物を満載した荷車の重みに耐えるように、大きな責任を果たせるだろう。進めば咎(とが)められない。
初陽 有害を遠ざける。勤倹努力(きんけんどりょく)すれば咎(とが)められない
大有【捕捉】 卦上九の爻辞より
「天より、これを、祐(たす)く。吉にして利(よ)ろしからざるなし」
これは、天が助けるのは人の道に従う場合であるが、人間関係においての信頼は、人が、助ける信義(しんぎ)を重んじ天地の道に従えば、天の意志と合一(ごういつ)し、天の助けを受けて、万事順調になる
64卦
周易 上経 30卦
NO | 六爻 | 上卦 | 下卦 |
1 | 乾為天(けんいてん) | ☰ 乾 | ☰ 乾 |
2 | 坤為地(こんいち) | ☷ 坤 | ☷ 坤 |
3 | 水雷屯(すいらいちゅん) | ☵ 坎 | ☳ 震 |
4 | 山水蒙(さんすいもう) | ☶ 艮 | ☵ 坎 |
5 | 水天需(すいてんじゅ) | ☵ 坎 | ☰ 乾 |
6 | 天水訟(てんすいしょう) | ☰ 乾 | ☵ 坎 |
7 | 地水師(ちすいし) | ☷ 坤 | ☵ 坎 |
8 | 水地比(すいちひ) | ☵ 坎 | ☷ 坤 |
9 | 風天小畜(ふうてんしょうちく) | ☴ 巽 | ☰ 乾 |
10 | 天沢履(てんたくり) | ☰ 乾 | ☱ 兌 |
11 | 地天泰(ちてんたい) | ☷ 坤 | ☰ 乾 |
12 | 天地否(てんちひ) | ☰ 乾 | ☷ 坤 |
13 | 天火同人(てんかどうじん) | ☰ 乾 | ☲ 離 |
14 | 火天大有(かてんたいゆう) | ☲ 離 | ☰ 乾 |
15 | 地山謙(ちざんけん) | ☷ 坤 | ☶ 艮 |
16 | 雷地豫(らいちよ) | ☳ 震 | ☷ 坤 |
17 | 沢雷随(たくらいずい) | ☱ 兌 | ☳ 震 |
18 | 山風蠱(さんぷうこ) | ☶ 艮 | ☴ 巽 |
19 | 地沢臨(ちたくりん) | ☷ 坤 | ☱ 兌 |
20 | 風地観(ふうちかん) | ☴ 巽 | ☷ 坤 |
21 | 火雷噬嗑(からいぜいこう) | ☲ 離 | ☳ 震 |
22 | 山火賁(さんかひ) | ☶ 艮 | ☳ 震 |
23 | 山地剥(さんちはく) | ☶ 艮 | ☷ 坤 |
24 | 地雷復(ちらいふく) | ☷ 坤 | ☳ 震 |
25 | 天雷无妄(てんらいむぼう) | ☰ 乾 | ☳ 震 |
26 | 山天大畜(さんてんたいちく) | ☶ 艮 | ☰ 乾 |
27 | 山雷頤(さんらいい) | ☶ 艮 | ☳ 震 |
28 | 沢風大過(たくふうたいか) | ☱ 兌 | ☴ 巽 |
29 | 坎為水(かんいすい) | ☵ 坎 | ☵ 坎 |
30 | 離為火(りいか) | ☲ 離 | ☲ 離 |
周易 下経 34卦
NO | 六爻 | 上卦 | 下卦 |
31 | 沢山咸(たくざんかん) | ☱ 兌 | ☶ 艮 |
32 | 雷風恒(らいふうこう) | ☳ 震 | ☴ 巽 |
33 | 天山遯(てんざんとん) | ☰ 乾 | ☶ 艮 |
34 | 雷天大壮(らいてんたいそう) | ☳ 震 | ☰ 乾 |
35 | 火地晋(かちしん) | ☲ 離 | ☷ 坤 |
36 | 地火明夷(ちかめいい) | ☷ 坤 | ☲ 離 |
37 | 風火家人(ふうかかじん) | ☴ 巽 | ☲ 離 |
38 | 火沢睽(かたくけい) | ☲ 離 | ☱ 兌 |
39 | 水山蹇(すいざんけん) | ☵ 坎 | ☶ 艮 |
40 | 雷水解(らいすいかい) | ☳ 震 | ☵ 坎 |
41 | 山沢損(さんたくそん) | ☶ 艮 | ☱ 兌 |
42 | 風雷益(ふうらいえき) | ☴ 巽 | ☳ 震 |
43 | 沢天夬(たくてんかい) | ☱ 兌 | ☰ 乾 |
44 | 天風姤(てんぷうこう) | ☰ 乾 | ☴ 巽 |
45 | 沢地萃(たくちすい) | ☱ 兌 | ☷ 坤 |
46 | 地風升(ちふうしょう) | ☷ 坤 | ☴ 巽 |
47 | 沢水困(たくすいこん) | ☱ 兌 | ☵ 坎 |
48 | 水風井(すいふうせい) | ☵ 坎 | ☴ 巽 |
49 | 沢火革(たくかかく) | ☱ 兌 | ☲ 離 |
50 | 火風鼎(はふうてい) | ☲ 離 | ☴ 巽 |
51 | 震為雷(しんいらい) | ☳ 震 | ☳ 震 |
52 | 艮為山(ごんいさん) | ☶ 艮 | ☶ 艮 |
53 | 風山漸(ふうさんぜん) | ☴ 巽 | ☶ 艮 |
54 | 雷沢帰妹(らいたくきまい) | ☳ 震 | ☱ 兌 |
55 | 雷火豊(らいかほう) | ☳ 震 | ☲ 離 |
56 | 火山旅(かざんりょ) | ☲ 離 | ☶ 艮 |
57 | 巽為風(そんいふう) | ☴ 巽 | ☴ 巽 |
58 | 兌為沢(だいたく) | ☱ 兌 | ☱ 兌 |
59 | 風水渙(ふうすいかん) | ☴ 巽 | ☵ 坎 |
60 | 水沢節(すいたくせつ) | ☵ 坎 | ☱ 兌 |
61 | 風沢中孚(ふうたくちゅうふ) | ☴ 巽 | ☱ 兌 |
62 | 雷山小過(らいざんしょうか) | ☳ 震 | ☶ 艮 |
63 | 水火既済(すいかきせい) | ☵ 坎 | ☲ 離 |
64 | 火水未済(かすいびせい) | ☲ 離 | ☵ 坎 |