地沢臨(ちたくりん)
六四卦十九番目に位置するのが、地沢臨(ちたくりん)。末娘の☱兌卦(だけ)の上に母である☷坤卦(ごんけ)がいすわっている形になります。
上卦は、坤卦☷(こんけ)です。坤卦は陰中の陰を表し、家族においては母親であり、八卦においては地を表しています。
下卦は、兌卦☱(だけ)です。兌卦(だけ)は陽爻を下に陰爻を上に据えた沢を表し、家族においては 末娘 三女を表しています。
沢はチョロチョロと小さな水を集め、大地を流れいずれは大海につながります。大地は自らの身を削られようとも、甘んじて受け入れ、末っ子の行うことを愛情く与えています。大地の下を流れる沢に対して見つめる母の愛はあくまでも慈愛であり、
小さな幸せが集まってすぐ近くに幸せが来ていることを教えています。ただ思いが強すぎて、急ぎ、あれれば大地を削る大河にもなりかねません。沢の水は母なる大地を削りながら山の栄養を大海に運び海の生き物を繁殖させるように流れて、大いなる幸福はもうすぐ近くに来ていることを教えていますが、
暴走すれば、全てを破壊するという2面性を含んでいることを忘れてはいけまん。
母は子を思っていますが、幼い娘は、母の慈愛を受けながらもその本質を知るためには、もう少し時間が必要かもしれません。母の目を見つめて育つ安心安全な環境を受け入れ幸福が近づいていることを知らせるのが、地沢臨(ちたくりん)の特徴です。
臨(りん)とは
上の立場の者が下の者を支配、保護することを言います。管理しその動きを整えることでもありますが、臨(りん)の意味においては、上司と部下 親方と弟子という関係性よりも愛情が深い親しみを持っている関係性を持っています。
下卦に2つの陽爻を持っており、運気が次第に隆盛(りゅうせい)していることを示していますが、臨(りん)の時期は長くは持たないことも示しており、短期決戦であり、時期をよく見こわめる感情を持っていなければなりません。そこには、親子関係においても。阿吽(あうん)の関係であれば、その感情を見極めるため心を引き締めて行わなければ、一生悔いが残るでしょう。
地沢臨(ちたくりん)のイメージ
臨(りん)は剛気が次第に盛り上がり、上下の親しみがあって、喜び(悦び)したがう卦です。悦びはおおいに伸びる、栄えると言えます。
臨。元亨利貞。至于八月有凶
「臨」の時、大いに通じる。貞正であれば良い。八月に至ると凶。
「臨」は、臨在すること。
存在はしているが、近くに来ていても見えていなことが多くあり、幸せは近くに来ているが、気づいていない事でもある。物事を進める時、無意識に否定されることで傷つきやめてしまう消極的なことは凶。大運に乗るため、幸運は近くまで来ていると信じる時です。
しかし、’「臨」とは、行き悩むという意味もあります。行くに悩み、帰るに悩む。リーダーがどうするか判断せず物事を行えば、プロジェクトにおいて必ず失敗します。「臨」とは、リーダーの資質が問われることでもあります。
地沢臨(ちたくりん)の六爻
地沢臨(ちたくりん)の六爻は、下から順番に、初爻、二爻。三爻、四爻、五爻、六爻の並びが、初陽、二陽、三陰、四陰、五陰、上陰と並んだ状態を地沢臨(ちたくりん)と言います。
六爻の位置は社会的位置を表しています。 初爻は庶民、二爻は士、三爻は大夫(たいふ)、四爻は公卿(こうけい)五爻は、君主、上爻は隠居した君主、あるいは知識人となります。
上陰 篤実(とくじつ)をもって事に臨む。賢人(けんじん)に心から従うが故に吉、
五陰 叡智をもって事に臨む。誠に王者に相応しい。吉
四陰 至誠(しせい)を持って事に臨む ゆえに咎(とが)められることはない。
三陰 計画性もなく、甘い気持ちで事に臨む うまくいくわけがない。過ちに自戒(じかい)し反省するならば、程なくとがめられない
二陽 上司と部下 親子が志を一つにして正道を守れば 吉ではあるが、君命に盲従(もうじゅう)することではない。
初陽 上司と部下 親子が志を一つにして正道を守れば 吉
64卦
周易 上経 30卦
NO | 六爻 | 上卦 | 下卦 |
1 | 乾為天(けんいてん) | ☰ 乾 | ☰ 乾 |
2 | 坤為地(こんいち) | ☷ 坤 | ☷ 坤 |
3 | 水雷屯(すいらいちゅん) | ☵ 坎 | ☳ 震 |
4 | 山水蒙(さんすいもう) | ☶ 艮 | ☵ 坎 |
5 | 水天需(すいてんじゅ) | ☵ 坎 | ☰ 乾 |
6 | 天水訟(てんすいしょう) | ☰ 乾 | ☵ 坎 |
7 | 地水師(ちすいし) | ☷ 坤 | ☵ 坎 |
8 | 水地比(すいちひ) | ☵ 坎 | ☷ 坤 |
9 | 風天小畜(ふうてんしょうちく) | ☴ 巽 | ☰ 乾 |
10 | 天沢履(てんたくり) | ☰ 乾 | ☱ 兌 |
11 | 地天泰(ちてんたい) | ☷ 坤 | ☰ 乾 |
12 | 天地否(てんちひ) | ☰ 乾 | ☷ 坤 |
13 | 天火同人(てんかどうじん) | ☰ 乾 | ☲ 離 |
14 | 火天大有(かてんたいゆう) | ☲ 離 | ☰ 乾 |
15 | 地山謙(ちざんけん) | ☷ 坤 | ☶ 艮 |
16 | 雷地豫(らいちよ) | ☳ 震 | ☷ 坤 |
17 | 沢雷随(たくらいずい) | ☱ 兌 | ☳ 震 |
18 | 山風蠱(さんぷうこ) | ☶ 艮 | ☴ 巽 |
19 | 地沢臨(ちたくりん) | ☷ 坤 | ☱ 兌 |
20 | 風地観(ふうちかん) | ☴ 巽 | ☷ 坤 |
21 | 火雷噬嗑(からいぜいこう) | ☲ 離 | ☳ 震 |
22 | 山火賁(さんかひ) | ☶ 艮 | ☳ 震 |
23 | 山地剥(さんちはく) | ☶ 艮 | ☷ 坤 |
24 | 地雷復(ちらいふく) | ☷ 坤 | ☳ 震 |
25 | 天雷无妄(てんらいむぼう) | ☰ 乾 | ☳ 震 |
26 | 山天大畜(さんてんたいちく) | ☶ 艮 | ☰ 乾 |
27 | 山雷頤(さんらいい) | ☶ 艮 | ☳ 震 |
28 | 沢風大過(たくふうたいか) | ☱ 兌 | ☴ 巽 |
29 | 坎為水(かんいすい) | ☵ 坎 | ☵ 坎 |
30 | 離為火(りいか) | ☲ 離 | ☲ 離 |
周易 下経 34卦
NO | 六爻 | 上卦 | 下卦 |
31 | 沢山咸(たくざんかん) | ☱ 兌 | ☶ 艮 |
32 | 雷風恒(らいふうこう) | ☳ 震 | ☴ 巽 |
33 | 天山遯(てんざんとん) | ☰ 乾 | ☶ 艮 |
34 | 雷天大壮(らいてんたいそう) | ☳ 震 | ☰ 乾 |
35 | 火地晋(かちしん) | ☲ 離 | ☷ 坤 |
36 | 地火明夷(ちかめいい) | ☷ 坤 | ☲ 離 |
37 | 風火家人(ふうかかじん) | ☴ 巽 | ☲ 離 |
38 | 火沢睽(かたくけい) | ☲ 離 | ☱ 兌 |
39 | 水山蹇(すいざんけん) | ☵ 坎 | ☶ 艮 |
40 | 雷水解(らいすいかい) | ☳ 震 | ☵ 坎 |
41 | 山沢損(さんたくそん) | ☶ 艮 | ☱ 兌 |
42 | 風雷益(ふうらいえき) | ☴ 巽 | ☳ 震 |
43 | 沢天夬(たくてんかい) | ☱ 兌 | ☰ 乾 |
44 | 天風姤(てんぷうこう) | ☰ 乾 | ☴ 巽 |
45 | 沢地萃(たくちすい) | ☱ 兌 | ☷ 坤 |
46 | 地風升(ちふうしょう) | ☷ 坤 | ☴ 巽 |
47 | 沢水困(たくすいこん) | ☱ 兌 | ☵ 坎 |
48 | 水風井(すいふうせい) | ☵ 坎 | ☴ 巽 |
49 | 沢火革(たくかかく) | ☱ 兌 | ☲ 離 |
50 | 火風鼎(はふうてい) | ☲ 離 | ☴ 巽 |
51 | 震為雷(しんいらい) | ☳ 震 | ☳ 震 |
52 | 艮為山(ごんいさん) | ☶ 艮 | ☶ 艮 |
53 | 風山漸(ふうさんぜん) | ☴ 巽 | ☶ 艮 |
54 | 雷沢帰妹(らいたくきまい) | ☳ 震 | ☱ 兌 |
55 | 雷火豊(らいかほう) | ☳ 震 | ☲ 離 |
56 | 火山旅(かざんりょ) | ☲ 離 | ☶ 艮 |
57 | 巽為風(そんいふう) | ☴ 巽 | ☴ 巽 |
58 | 兌為沢(だいたく) | ☱ 兌 | ☱ 兌 |
59 | 風水渙(ふうすいかん) | ☴ 巽 | ☵ 坎 |
60 | 水沢節(すいたくせつ) | ☵ 坎 | ☱ 兌 |
61 | 風沢中孚(ふうたくちゅうふ) | ☴ 巽 | ☱ 兌 |
62 | 雷山小過(らいざんしょうか) | ☳ 震 | ☶ 艮 |
63 | 水火既済(すいかきせい) | ☵ 坎 | ☲ 離 |
64 | 火水未済(かすいびせい) | ☲ 離 | ☵ 坎 |