山火賁(さんかひ)
六四卦二十二番目に位置するのが、山火賁(さんかひ)。次女である☲離卦(りけ)の上に未子である☶艮卦(ごんけ)が乗っかっている形になります。
上卦は艮卦☶(ごんけ)です。艮卦は陰爻2段の上に陽爻が乗った形で、家族においては末っ子 三男をあらわします。八卦においては山を表しています。
下卦は、離卦☲(りけ)です。離卦は両サイドに陽爻を持ち陰爻が陽爻に包まれた形となり、火を表し、家族のなかでは次女を表します。
艮卦(ごんけ)は、山を表しますが。天から与える雨の恵みも、日の恵みも平等ではありますが、真っ先に受けるのが、天に向かって伸びる山でもあります、艮卦の末の坊やは、天に甘える作法をよく知っていて、その心根は純真で、素直に親の愛を受ける上に溢れています。山火賁(さんかひ)はそのような、艮卦(ごんけ)上卦にあり、受けた愛を下卦である離卦に繋いでいます。離卦は、受けた愛を自らの心で咀嚼して、周囲に放つ松明であり、光だあり、その美しさゆえに多くのものを魅了します、そこには「離は、麗(れい)なり」と言われるように、内面の美しさもあり、末っ子通じて天の愛を受けて喜びとした家族の形といえます。
賁、亨。小利有攸往。
彖曰、賁亨、柔來而文剛、故亨。分剛上而文柔、故小利有攸往。天文也。文明以止人文也。觀乎天文以察時變、觀乎人文以化成天下象曰、山下有火賁。君子以明庶政、无敢折獄。
賁は、亨る。少しく往くところあるに利ろし。
彖に曰く、賁は亨るとは、柔来たりて剛を文る、故に亨るなり。剛を分かち上りて柔を文る、故に少しく往くところあるに利ろしきなり。(剛柔交錯するは)天文なり。文明にして止まるは人文なり。天文を観てもって時変を察し、人文を観てもって天下を化成す。
彖に曰く、山下に火あるは賁なり。君子もって庶政を明らかにし、あえて獄を折むることなし。
「賁(ひ)は亨(うけ)る 少しく往(い)くところにあるに利(よろ)ろし」易教の一文に賁(ひ)について書かれています。上卦の艮卦は、柔卦であり、下で支える離卦は剛卦として解釈しています。
賁(ひ)とは、
賁(ひ)とは、飾るという意味を持っています。『病は気から』というように、心に苦しみや恨み言がたまると、人の形相も変えてしまします。苦しさは、その姿さえ変えてしまうのです、心は体に影響を与えるものですが、逆に、体も心に影響を与えます。心と体は別物ではありません、ゆえに、苦しい時、笑顔でいること、楽しいことを一生懸命に楽しむことで、自分の周りを飾ることで、心も喜びという衣装を纏い自ら整えることができます。
俳優が日々芝居に打ち込み、舞台に立つのは、本番での素晴らしい演技をする訓練を自らするための技術です、苦しみを喜びにかえるための装いは日々の生活の中で、幼い子供が純粋に親に甘えるように、できれば良いのですが、大人になると、様々のプライドが、鎧(よろい)となり、萎縮させますが、無理にでも笑う。無理にでも楽しむことで、その技術は身の助けとなります。
本番であがらないために、俳優は、練習し、訓練し、鍛錬するようにします。それは、挫折や、恐怖心を先立てば失敗することを経験としてしっているからです。。ゆえに、(自らの望む状態を想像する)のは、喜びのある生活をえるための技術であり、技術は習得できるものであるため、喜びのある家庭も、習得できるものであることを、山火賁(さんかひ)は教えて、着飾ることを勧めます。賁(ひ)は、心のあり方を知る手掛かりでもあります。
賁(ひ)のイメージ
賁。亨。小利有攸往。
「賁」の時は通じる。小さな利であれば、進んでも良い
「賁」は、飾る
不幸が続くと笑顔ではいられません。笑顔を作ると心に作用し、心が和みます。内面が、骨相、手相に現れるように不幸な思いは顔に現れます。笑顔で着飾ったとしても、その行動は心に大きく影響します。心と体は、一人の人として切り離せません。環境を整える。化粧をすることで、明るく着飾ることで、心を整えることができます。その行動は、少しずつ利を得ることができます。大きくは進みません。
賁(ひ)六爻
山火賁(さんかひ)の六爻は、下から順番に、初爻、二爻。三爻、四爻、五爻、六爻の並びが、初陽、二陰、三陽、四陰、五陰、上陽と並んだ状態を山火賁(さんかひ)といいます。
六爻の位置は社会的位置を表しています。 初爻は庶民、二爻は士、三爻は大夫(たいふ)、四爻は公卿(こうけい)五爻は、君主、上爻は隠居した君主、あるいは知識人となります。
上陽 美の極致(きわみいたる)極彩色(ごくさいしょく)ではなく。純白である。これを忘れなければ、咎めることはない。
五陰 田畑を美しくすることに努め、贈り物などは、虚礼を廃して。質素にする。無礼であると叱責されるが、結果としては吉
四陰 華美(かび)か質朴(しつぼく)か 疑い迷う時。華美(かび)を攻撃する者はいない。両者の調和をおさめる時、それができれば、咎められない。
三陽 美(うるわしく)して潤(うるお)いがある。虚飾(きょしょく)に流れることがなければ、侮辱を受けることもない。吉
二陰 顎髭を(あごひげ)を賁(かざ)る 顎髭は、顎’(あご)の動きに合わせて動きます 出処進退(しゅっしょしんたい)は先輩、上司に従い、ひたすら身なりに気を配るのがいい。
初陽 足を賁(かざ)る 修養(しゅうよう)に務めて足元から飾ることであり、我が身の美しさが、現れる。
孔子は山火賁(さんかひ)を得て、賁は正色ではない、ものの原質は、白下黒、賁はは丹(あか)い漆(うるし)に文様(もんよう)をつけない。原質の素晴らしいものに飾りは必要ない、
64卦
周易 上経 30卦
NO | 六爻 | 上卦 | 下卦 |
1 | 乾為天(けんいてん) | ☰ 乾 | ☰ 乾 |
2 | 坤為地(こんいち) | ☷ 坤 | ☷ 坤 |
3 | 水雷屯(すいらいちゅん) | ☵ 坎 | ☳ 震 |
4 | 山水蒙(さんすいもう) | ☶ 艮 | ☵ 坎 |
5 | 水天需(すいてんじゅ) | ☵ 坎 | ☰ 乾 |
6 | 天水訟(てんすいしょう) | ☰ 乾 | ☵ 坎 |
7 | 地水師(ちすいし) | ☷ 坤 | ☵ 坎 |
8 | 水地比(すいちひ) | ☵ 坎 | ☷ 坤 |
9 | 風天小畜(ふうてんしょうちく) | ☴ 巽 | ☰ 乾 |
10 | 天沢履(てんたくり) | ☰ 乾 | ☱ 兌 |
11 | 地天泰(ちてんたい) | ☷ 坤 | ☰ 乾 |
12 | 天地否(てんちひ) | ☰ 乾 | ☷ 坤 |
13 | 天火同人(てんかどうじん) | ☰ 乾 | ☲ 離 |
14 | 火天大有(かてんたいゆう) | ☲ 離 | ☰ 乾 |
15 | 地山謙(ちざんけん) | ☷ 坤 | ☶ 艮 |
16 | 雷地豫(らいちよ) | ☳ 震 | ☷ 坤 |
17 | 沢雷随(たくらいずい) | ☱ 兌 | ☳ 震 |
18 | 山風蠱(さんぷうこ) | ☶ 艮 | ☴ 巽 |
19 | 地沢臨(ちたくりん) | ☷ 坤 | ☱ 兌 |
20 | 風地観(ふうちかん) | ☴ 巽 | ☷ 坤 |
21 | 火雷噬嗑(からいぜいこう) | ☲ 離 | ☳ 震 |
22 | 山火賁(さんかひ) | ☶ 艮 | ☳ 震 |
23 | 山地剥(さんちはく) | ☶ 艮 | ☷ 坤 |
24 | 地雷復(ちらいふく) | ☷ 坤 | ☳ 震 |
25 | 天雷无妄(てんらいむぼう) | ☰ 乾 | ☳ 震 |
26 | 山天大畜(さんてんたいちく) | ☶ 艮 | ☰ 乾 |
27 | 山雷頤(さんらいい) | ☶ 艮 | ☳ 震 |
28 | 沢風大過(たくふうたいか) | ☱ 兌 | ☴ 巽 |
29 | 坎為水(かんいすい) | ☵ 坎 | ☵ 坎 |
30 | 離為火(りいか) | ☲ 離 | ☲ 離 |
周易 下経 34卦
NO | 六爻 | 上卦 | 下卦 |
31 | 沢山咸(たくざんかん) | ☱ 兌 | ☶ 艮 |
32 | 雷風恒(らいふうこう) | ☳ 震 | ☴ 巽 |
33 | 天山遯(てんざんとん) | ☰ 乾 | ☶ 艮 |
34 | 雷天大壮(らいてんたいそう) | ☳ 震 | ☰ 乾 |
35 | 火地晋(かちしん) | ☲ 離 | ☷ 坤 |
36 | 地火明夷(ちかめいい) | ☷ 坤 | ☲ 離 |
37 | 風火家人(ふうかかじん) | ☴ 巽 | ☲ 離 |
38 | 火沢睽(かたくけい) | ☲ 離 | ☱ 兌 |
39 | 水山蹇(すいざんけん) | ☵ 坎 | ☶ 艮 |
40 | 雷水解(らいすいかい) | ☳ 震 | ☵ 坎 |
41 | 山沢損(さんたくそん) | ☶ 艮 | ☱ 兌 |
42 | 風雷益(ふうらいえき) | ☴ 巽 | ☳ 震 |
43 | 沢天夬(たくてんかい) | ☱ 兌 | ☰ 乾 |
44 | 天風姤(てんぷうこう) | ☰ 乾 | ☴ 巽 |
45 | 沢地萃(たくちすい) | ☱ 兌 | ☷ 坤 |
46 | 地風升(ちふうしょう) | ☷ 坤 | ☴ 巽 |
47 | 沢水困(たくすいこん) | ☱ 兌 | ☵ 坎 |
48 | 水風井(すいふうせい) | ☵ 坎 | ☴ 巽 |
49 | 沢火革(たくかかく) | ☱ 兌 | ☲ 離 |
50 | 火風鼎(はふうてい) | ☲ 離 | ☴ 巽 |
51 | 震為雷(しんいらい) | ☳ 震 | ☳ 震 |
52 | 艮為山(ごんいさん) | ☶ 艮 | ☶ 艮 |
53 | 風山漸(ふうさんぜん) | ☴ 巽 | ☶ 艮 |
54 | 雷沢帰妹(らいたくきまい) | ☳ 震 | ☱ 兌 |
55 | 雷火豊(らいかほう) | ☳ 震 | ☲ 離 |
56 | 火山旅(かざんりょ) | ☲ 離 | ☶ 艮 |
57 | 巽為風(そんいふう) | ☴ 巽 | ☴ 巽 |
58 | 兌為沢(だいたく) | ☱ 兌 | ☱ 兌 |
59 | 風水渙(ふうすいかん) | ☴ 巽 | ☵ 坎 |
60 | 水沢節(すいたくせつ) | ☵ 坎 | ☱ 兌 |
61 | 風沢中孚(ふうたくちゅうふ) | ☴ 巽 | ☱ 兌 |
62 | 雷山小過(らいざんしょうか) | ☳ 震 | ☶ 艮 |
63 | 水火既済(すいかきせい) | ☵ 坎 | ☲ 離 |
64 | 火水未済(かすいびせい) | ☲ 離 | ☵ 坎 |