天雷无妄(てんらいむぼう)
六四卦の二十五番目に位置するのが、天雷无妄(てんらいむぼう)。長男の震☳卦の上に、父の卦 乾卦(けんけ)が乗っかっている形になります。
上卦は、乾卦☰(けんけ)です。乾卦は陽中の陽を表し、天を表し、家族の中では父を表しています。
下卦は震卦☳(しんけ)です。震卦は陽爻1段の上に陰爻が2段乗った形で、家族においては、長男をあらわします。八卦においては雷を表しています。
乾卦(☰)けんけ)は天を表し、被造されたすべてのものを理(ことわり)に置いてすべてを見つめ、管理し、愛することにおいて無限の愛を持った存在として、家族を包み、物事に対し理(ことわり)を超えない限りにおいて許し、愛することにおいて、寛大な存在であり、
日の光が当たるすべてのことに関心を持ちますが、強い光を当てても隠れる部分においては責任を持たない故に、その理(ことわり)を伝える役目として、長男の震卦(☳)(しんけ)は稲妻のごとく天地に轟かせる役目を担っています。
父と長男の役割は、無形、有形に置いて互いに信頼仕合い、原則に従い運営される天体の動きのごとく 規則正しい法則性を持って運行されます、ただ、それ以上に、家族愛として、父は息子を信頼してなお愛する愛情において、熱烈なため、間違えてしまえば厳格な愛は烈火の如くに激しく、現れます。
无妄(むぼう)とは
无(む)は、無(む)を表すため、目には見えないが存在し、手で触ることも、見つめることもできないが存在する、天を表し、宇宙の天体が、循環し何年、何百年、何千年と変わろうとも、規則性の中で変化なく動くように、愛や、心、といった目には見えないが感じることに対して、表します。それに対し、
妄(ぼう)は、望み、妄想(ぼうそう)妄言(ぼうげん)といった無が具現化したものになります。言葉は、その唇を通して、意味を伝え表します。聖書には、舌は、小さな器かんではあるが、そこから発するものは、壮大であるとも、その舌から出たものは後戻りできないとも言われるように、天 无(む)の願うことを具現化していきます。
故に、无妄(むぼう)とは、天(父)法則性をそのまま伝達する長男としての役割を果たすことであり、自然の理(ことわり)を果たすことを言います。
このことは、別の言い方をすれば、いくら逆らって、作為(さくい)行為をしても、作為的な努力をしても徒労に終わる事を表し、素直に、純粋に、無邪気に物事を進めることが良いと言えます。小手先の技術やテクニックで推し進めるよりは、自分の内なる本☳に従い物事を進めるのが良いと言えます。
この卦は天命に従い、そのことで大いに伸び栄えることを表しています。 正しいことを愚直に守るもの、変わらず行うことで、万事順調に事が進みます。しかし、その道理に反し、策略を練るならば、必ず、災禍(さいか)が降りかかることを知るべきです。
おとなになればなるほどに、経験や、実績に置いて、予見(よけん)しますが、この卦は、そういった予見が邪魔をしていることを表します。
无妄(むぼう)のイメージ
无妄。元亨利貞。其匪正有責。不利有攸往。
「无妄」の時、大いに通じる。貞正であれば良い。正しくない ことや、真実のない行動は災いがあるので、進んで事を行ってはならない
「无妄」は、嘘、偽り、まやかし。
貞正であれば良いとあtるように、無邪気な心、悪意のないいたずら心であれば進んでもよいが、打算や、欲が先立つことは、偽りを作り、小さな嘘は、大きな罪へと広がっていきます。その行動は、周りを巻き込んで、引き返せなくなります。悪は、悪としての仲間を作るのを得意とします。不安や、恐怖を感じるなら、進んではいけません。
无妄(むぼう)の六爻
天雷无妄(てんらいむぼう)は、下から、順番に、初爻、二爻。三爻、四爻、五爻、六爻の並びが、初陽、二陰、三陰、四陽、五陰、上陽と並んだ状態を、天雷无妄(てんらいむぼう)と言います。
六爻の位置は社会的位置を表しています。 初爻は庶民、二爻は士、三爻は大夫(たいふ)、四爻は公卿(こうけい)五爻は、君主、上爻は隠居した君主、あるいは知識人となります。
上陽 自然に任せる、作為(さくい)を施せば、災禍(さいか)が降りかかる。策略をねっても、息詰まり、害のみがのこる。
五陽 思いがけない病気に見舞われる。しかし、一呼吸置き、慌てず、自然の理(ことわり)のまままかせレバ、快癒(かいゆ)する
四陽 正しく、清く 純粋に 正道を守れ、固く守るなら、咎められない。
三陰 思いがけない災難に会う、扉を開けた先に老婆がいて転び、大怪我を負い負債を負ったり、見知らぬものに、儲け話を持ちかけられ、大損する。
二陰 収穫のいかんに関わらず、ひたすらに耕作し、先の事を考えずひたすら、開拓するならば、万事順調に行く、富貴を求めないで、日々の生業に努め、やりおおせよ
初陽 無心に進むなら、志を得て、吉
64卦
周易 上経 30卦
NO | 六爻 | 上卦 | 下卦 |
1 | 乾為天(けんいてん) | ☰ 乾 | ☰ 乾 |
2 | 坤為地(こんいち) | ☷ 坤 | ☷ 坤 |
3 | 水雷屯(すいらいちゅん) | ☵ 坎 | ☳ 震 |
4 | 山水蒙(さんすいもう) | ☶ 艮 | ☵ 坎 |
5 | 水天需(すいてんじゅ) | ☵ 坎 | ☰ 乾 |
6 | 天水訟(てんすいしょう) | ☰ 乾 | ☵ 坎 |
7 | 地水師(ちすいし) | ☷ 坤 | ☵ 坎 |
8 | 水地比(すいちひ) | ☵ 坎 | ☷ 坤 |
9 | 風天小畜(ふうてんしょうちく) | ☴ 巽 | ☰ 乾 |
10 | 天沢履(てんたくり) | ☰ 乾 | ☱ 兌 |
11 | 地天泰(ちてんたい) | ☷ 坤 | ☰ 乾 |
12 | 天地否(てんちひ) | ☰ 乾 | ☷ 坤 |
13 | 天火同人(てんかどうじん) | ☰ 乾 | ☲ 離 |
14 | 火天大有(かてんたいゆう) | ☲ 離 | ☰ 乾 |
15 | 地山謙(ちざんけん) | ☷ 坤 | ☶ 艮 |
16 | 雷地豫(らいちよ) | ☳ 震 | ☷ 坤 |
17 | 沢雷随(たくらいずい) | ☱ 兌 | ☳ 震 |
18 | 山風蠱(さんぷうこ) | ☶ 艮 | ☴ 巽 |
19 | 地沢臨(ちたくりん) | ☷ 坤 | ☱ 兌 |
20 | 風地観(ふうちかん) | ☴ 巽 | ☷ 坤 |
21 | 火雷噬嗑(からいぜいこう) | ☲ 離 | ☳ 震 |
22 | 山火賁(さんかひ) | ☶ 艮 | ☳ 震 |
23 | 山地剥(さんちはく) | ☶ 艮 | ☷ 坤 |
24 | 地雷復(ちらいふく) | ☷ 坤 | ☳ 震 |
25 | 天雷无妄(てんらいむぼう) | ☰ 乾 | ☳ 震 |
26 | 山天大畜(さんてんたいちく) | ☶ 艮 | ☰ 乾 |
27 | 山雷頤(さんらいい) | ☶ 艮 | ☳ 震 |
28 | 沢風大過(たくふうたいか) | ☱ 兌 | ☴ 巽 |
29 | 坎為水(かんいすい) | ☵ 坎 | ☵ 坎 |
30 | 離為火(りいか) | ☲ 離 | ☲ 離 |
周易 下経 34卦
NO | 六爻 | 上卦 | 下卦 |
31 | 沢山咸(たくざんかん) | ☱ 兌 | ☶ 艮 |
32 | 雷風恒(らいふうこう) | ☳ 震 | ☴ 巽 |
33 | 天山遯(てんざんとん) | ☰ 乾 | ☶ 艮 |
34 | 雷天大壮(らいてんたいそう) | ☳ 震 | ☰ 乾 |
35 | 火地晋(かちしん) | ☲ 離 | ☷ 坤 |
36 | 地火明夷(ちかめいい) | ☷ 坤 | ☲ 離 |
37 | 風火家人(ふうかかじん) | ☴ 巽 | ☲ 離 |
38 | 火沢睽(かたくけい) | ☲ 離 | ☱ 兌 |
39 | 水山蹇(すいざんけん) | ☵ 坎 | ☶ 艮 |
40 | 雷水解(らいすいかい) | ☳ 震 | ☵ 坎 |
41 | 山沢損(さんたくそん) | ☶ 艮 | ☱ 兌 |
42 | 風雷益(ふうらいえき) | ☴ 巽 | ☳ 震 |
43 | 沢天夬(たくてんかい) | ☱ 兌 | ☰ 乾 |
44 | 天風姤(てんぷうこう) | ☰ 乾 | ☴ 巽 |
45 | 沢地萃(たくちすい) | ☱ 兌 | ☷ 坤 |
46 | 地風升(ちふうしょう) | ☷ 坤 | ☴ 巽 |
47 | 沢水困(たくすいこん) | ☱ 兌 | ☵ 坎 |
48 | 水風井(すいふうせい) | ☵ 坎 | ☴ 巽 |
49 | 沢火革(たくかかく) | ☱ 兌 | ☲ 離 |
50 | 火風鼎(はふうてい) | ☲ 離 | ☴ 巽 |
51 | 震為雷(しんいらい) | ☳ 震 | ☳ 震 |
52 | 艮為山(ごんいさん) | ☶ 艮 | ☶ 艮 |
53 | 風山漸(ふうさんぜん) | ☴ 巽 | ☶ 艮 |
54 | 雷沢帰妹(らいたくきまい) | ☳ 震 | ☱ 兌 |
55 | 雷火豊(らいかほう) | ☳ 震 | ☲ 離 |
56 | 火山旅(かざんりょ) | ☲ 離 | ☶ 艮 |
57 | 巽為風(そんいふう) | ☴ 巽 | ☴ 巽 |
58 | 兌為沢(だいたく) | ☱ 兌 | ☱ 兌 |
59 | 風水渙(ふうすいかん) | ☴ 巽 | ☵ 坎 |
60 | 水沢節(すいたくせつ) | ☵ 坎 | ☱ 兌 |
61 | 風沢中孚(ふうたくちゅうふ) | ☴ 巽 | ☱ 兌 |
62 | 雷山小過(らいざんしょうか) | ☳ 震 | ☶ 艮 |
63 | 水火既済(すいかきせい) | ☵ 坎 | ☲ 離 |
64 | 火水未済(かすいびせい) | ☲ 離 | ☵ 坎 |