山天大畜(さんてんたいちく)
六四卦の二十六番目に位置するのが、山天大畜(さんてんたいちく)。父の卦 乾卦(けんけ)(☰)の上に末っ子の艮卦(ごんけ)(☶)が乗っかっている形になります。
上卦は艮卦☷(ごんけ)です。艮卦は陰爻2段の上に陽爻が乗った形で、家族においては末っ子 三男をあらわします。八卦においては山を表しています。
下卦の乾卦☰(けんけ)です。乾卦は陽中の陽を表し、八卦においては、天を表し、家族の中では父を表しています。
幼い末っ子から見れば、父は大きく何でもできる自分を愛してくれる大事な存在であり、近くに父の姿が見えないと、一気に不安になります。幼い末っ子は、遊びに夢中になりすぎて、動き回りますが、父は、目で追いかけて、危険を察知するとすぐに駆け寄り、諭しながらも優しく声をかけます。
幼い末っ子は、早く大人になりたいと思う自分と、いつまでもこのまま遊んでいたい自分が存在し、父親は、大きな存在として、絶えず制御された力を押し付けてくる思いに駆られますが、それは、天の理(ことわり)を知らない幼い末っ子に対して、教え込もうとする成約でもあります、
ただ、自然の法則において、季節がめぐり、木々や植物 動物は、規則性だけで存在できますが、人間は、そこに、喜怒哀楽といった感情の中で、自らの意志で行動を制御する自制心を育んでいくための自律性が存在します。
動物と人との違いは、この自らを悟らしめる自律性によることが大きく、幼い末っ子は、父から大きな制御力を持って、この自律性を育てられるため、この時期、停滞を余儀なくされていますがこれは、大きく成長するための大切な時期と言えます。
大畜とは、
単純に大きなものが小さなものを養うことを意味します。
大が、小をとどめ、養う、偉大な王が人材を養護する育成することを言い、会社に入った新入社員が、すぐには、即戦力になりませんが、そこにおいて教育し、育てることで、将来においての人材を育てる期間といえます。
養い、大いに実力をつけさせるためには、一人ひとりの成長するスピードも違い、早熟し、すすめる者いますが、遅延する者もいます。その時、大いなる王はどう考え、どのように行動し、どのように進めるのでしょう、我が子であれば、育ち方の違いを知って行動できます。それは、そこに、愛があり、育てようという情があります。
将来において、倉庫にたくさんの穀物を蓄えるためには、田畑を茂らせ、豊作にしなければならないでしょう。そのためには、大地に必要な 水や栄養を与え、良い気候に恵まれる必要があるように、大望を抱くのであれば、まず力を蓄え、人徳、人脈、知識、資金 気力、精気を養うことで、危険や障害に打ち勝つ、知恵やアイデア、により克服できるものを育てる時期が、この大畜という卦です。
大畜のイメージ
大畜。利貞。不家食吉。利渉大川。
「大畜」の時、貞正であれば良い。家にいないで、世間に打って出て吉。大川を渡っても 良い。
「大畜」は、大きく蓄える。
この卦は、停滞を意味します。たとえ、技術や能力があっても、停滞するときがあります。小さなことからコツコツとはじめの一歩を踏み出すにも、ただただイノシシのごとく進むのでなく。亀のようにじっくり出ていくべきです。目的目標がないのであれば、停滞は長引きますが、目的目標があるのであれば、家でご飯を食べている時ではありません。すぐに結果が出なくとも、世間に打って出ていくべき時期です。
大畜の六爻
山天大畜(さんてんたいちく)の六爻は、下から、順番に、初爻、二爻。三爻、四爻、五爻、六爻の並びが、初陽、二陽、三陽、四陰、五陰、上陽と並んだ状態を、山天大畜(さんてんたいちく)と言います。
六爻の位置は社会的位置を表しています。 初爻は庶民、二爻は士、三爻は大夫(たいふ)、四爻は公卿(こうけい)五爻は、君主、上爻は隠居した君主、あるいは知識人となります。
上陽 広大無辺の天の道理を体得し、自在に行動できる、道 大いに行われる。かならず賢者の能力に応じて広く与えられる。
五陰 杭(くい)に繋がれた子豚である。軽拳妄動(けいきょもうどう)を戒めば、喜びを得られる 吉
四陰 囲いの中にいる子牛である。軽拳妄動(けいきょもうどう)であれば順調にいく。
三陽 駿馬に乗り、疾走する。なおも、区をうするが、変わることなく努力するのが良い、絶えず努力し、自らの武芸に励み、上司と志を合わせて進めば、順調に行く。
二陽 車体より車輪が外れる、猛進するものは捨て置いて、中庸でいるならば咎められない。
初陽 進めば危うい。災いを避けてとどまれば 吉
64卦
周易 上経 30卦
NO | 六爻 | 上卦 | 下卦 |
1 | 乾為天(けんいてん) | ☰ 乾 | ☰ 乾 |
2 | 坤為地(こんいち) | ☷ 坤 | ☷ 坤 |
3 | 水雷屯(すいらいちゅん) | ☵ 坎 | ☳ 震 |
4 | 山水蒙(さんすいもう) | ☶ 艮 | ☵ 坎 |
5 | 水天需(すいてんじゅ) | ☵ 坎 | ☰ 乾 |
6 | 天水訟(てんすいしょう) | ☰ 乾 | ☵ 坎 |
7 | 地水師(ちすいし) | ☷ 坤 | ☵ 坎 |
8 | 水地比(すいちひ) | ☵ 坎 | ☷ 坤 |
9 | 風天小畜(ふうてんしょうちく) | ☴ 巽 | ☰ 乾 |
10 | 天沢履(てんたくり) | ☰ 乾 | ☱ 兌 |
11 | 地天泰(ちてんたい) | ☷ 坤 | ☰ 乾 |
12 | 天地否(てんちひ) | ☰ 乾 | ☷ 坤 |
13 | 天火同人(てんかどうじん) | ☰ 乾 | ☲ 離 |
14 | 火天大有(かてんたいゆう) | ☲ 離 | ☰ 乾 |
15 | 地山謙(ちざんけん) | ☷ 坤 | ☶ 艮 |
16 | 雷地豫(らいちよ) | ☳ 震 | ☷ 坤 |
17 | 沢雷随(たくらいずい) | ☱ 兌 | ☳ 震 |
18 | 山風蠱(さんぷうこ) | ☶ 艮 | ☴ 巽 |
19 | 地沢臨(ちたくりん) | ☷ 坤 | ☱ 兌 |
20 | 風地観(ふうちかん) | ☴ 巽 | ☷ 坤 |
21 | 火雷噬嗑(からいぜいこう) | ☲ 離 | ☳ 震 |
22 | 山火賁(さんかひ) | ☶ 艮 | ☳ 震 |
23 | 山地剥(さんちはく) | ☶ 艮 | ☷ 坤 |
24 | 地雷復(ちらいふく) | ☷ 坤 | ☳ 震 |
25 | 天雷无妄(てんらいむぼう) | ☰ 乾 | ☳ 震 |
26 | 山天大畜(さんてんたいちく) | ☶ 艮 | ☰ 乾 |
27 | 山雷頤(さんらいい) | ☶ 艮 | ☳ 震 |
28 | 沢風大過(たくふうたいか) | ☱ 兌 | ☴ 巽 |
29 | 坎為水(かんいすい) | ☵ 坎 | ☵ 坎 |
30 | 離為火(りいか) | ☲ 離 | ☲ 離 |
周易 下経 34卦
NO | 六爻 | 上卦 | 下卦 |
31 | 沢山咸(たくざんかん) | ☱ 兌 | ☶ 艮 |
32 | 雷風恒(らいふうこう) | ☳ 震 | ☴ 巽 |
33 | 天山遯(てんざんとん) | ☰ 乾 | ☶ 艮 |
34 | 雷天大壮(らいてんたいそう) | ☳ 震 | ☰ 乾 |
35 | 火地晋(かちしん) | ☲ 離 | ☷ 坤 |
36 | 地火明夷(ちかめいい) | ☷ 坤 | ☲ 離 |
37 | 風火家人(ふうかかじん) | ☴ 巽 | ☲ 離 |
38 | 火沢睽(かたくけい) | ☲ 離 | ☱ 兌 |
39 | 水山蹇(すいざんけん) | ☵ 坎 | ☶ 艮 |
40 | 雷水解(らいすいかい) | ☳ 震 | ☵ 坎 |
41 | 山沢損(さんたくそん) | ☶ 艮 | ☱ 兌 |
42 | 風雷益(ふうらいえき) | ☴ 巽 | ☳ 震 |
43 | 沢天夬(たくてんかい) | ☱ 兌 | ☰ 乾 |
44 | 天風姤(てんぷうこう) | ☰ 乾 | ☴ 巽 |
45 | 沢地萃(たくちすい) | ☱ 兌 | ☷ 坤 |
46 | 地風升(ちふうしょう) | ☷ 坤 | ☴ 巽 |
47 | 沢水困(たくすいこん) | ☱ 兌 | ☵ 坎 |
48 | 水風井(すいふうせい) | ☵ 坎 | ☴ 巽 |
49 | 沢火革(たくかかく) | ☱ 兌 | ☲ 離 |
50 | 火風鼎(はふうてい) | ☲ 離 | ☴ 巽 |
51 | 震為雷(しんいらい) | ☳ 震 | ☳ 震 |
52 | 艮為山(ごんいさん) | ☶ 艮 | ☶ 艮 |
53 | 風山漸(ふうさんぜん) | ☴ 巽 | ☶ 艮 |
54 | 雷沢帰妹(らいたくきまい) | ☳ 震 | ☱ 兌 |
55 | 雷火豊(らいかほう) | ☳ 震 | ☲ 離 |
56 | 火山旅(かざんりょ) | ☲ 離 | ☶ 艮 |
57 | 巽為風(そんいふう) | ☴ 巽 | ☴ 巽 |
58 | 兌為沢(だいたく) | ☱ 兌 | ☱ 兌 |
59 | 風水渙(ふうすいかん) | ☴ 巽 | ☵ 坎 |
60 | 水沢節(すいたくせつ) | ☵ 坎 | ☱ 兌 |
61 | 風沢中孚(ふうたくちゅうふ) | ☴ 巽 | ☱ 兌 |
62 | 雷山小過(らいざんしょうか) | ☳ 震 | ☶ 艮 |
63 | 水火既済(すいかきせい) | ☵ 坎 | ☲ 離 |
64 | 火水未済(かすいびせい) | ☲ 離 | ☵ 坎 |