山雷頤(さんらいい)
六四卦の二十七番目に位置するのが、山雷頤(さんらいい)。長男の卦 震卦(しんけ)(☳)の上に末っ子の艮卦(ごんけ)(☶)(が乗っかっている形になります。
上卦は艮卦☶(ごんけ)です。艮卦は陰爻2段の上に陽爻が乗った形で、家族においては末っ子 三男をあらわします。八卦においては山を表しています。
下卦は震卦☳(しんけ)です。震卦は陽爻1段の上に陰爻が2段乗った形で、家族においては、長男をあらわします。八卦においては雷を表しています。
下卦の震卦(☳)(しんけ)と上卦の艮卦(☶)(ごんけ)は天地において対象の形を取り、人の営みの中の口を表し、咀嚼(そしゃく)する顎(あご)を表しています。震卦(☳)(しんけ)破天を轟く稲妻であり、艮卦(☶)(ごんけ)大地に広がる山脈であるがゆえにこの兄弟は、天の万物、地の万物を表しています、人がものを食べるときに上顎(うわあご)だけで噛むことができず、下顎’(したあご)だけでも噛むことはできません。ゆえに互いを思い、互いを認め合うことで成り立っています。
ただ、上顎(うわあご)はよく動くことはできず、下顎’(したあご)の動きに合わせて生きています。故に、下顎’(したあご)にあわせて生きています。
人は、動物のように、地上にある食事だけで生きるものではなく、同時に、精神的食事も必要とします。それは、互いを思いやる愛であり、下顎’(したあご)は上顎(うわあご)に合わせて口を動かし食べ物をいただきますし、愛を語る場所でもあります。
ここで自分の下顎’(したあご)と上顎(うわあご)を見たときに、この状態を口と言います。この口は、食べるためだけの存在ではなく、生きるために 呼吸をする入り口でもあり、言葉を発するための器官でもあるわけです。
自分を活かすための口でもありますが、その口から発する言葉で、人を活かすことを常とするのが本来の、頤(い)の意味です。人を貶めるために、詐欺を働いたり、自分を大きく見せるための頤(い)の存在理由ではないのです。
頤(い)とは、
この卦は、正しい食事を取り、身を養うことを示しています、それは、自らの身を養うばかりではなく、同時に精神的食事で養うことも意味するので、肉体的食事と、精神的食事を意味しており、精神的食事というのは人の魂、霊性(魂魄こんぱく)と言えます。人は他の動物と違い霊長類と言われるように、霊性(魂魄こんぱく)においても、正しくなければなりません。人の霊性(魂魄こんぱく)が正しくなければ、他の動物、植物、鉱物といった存在は、犠牲になるしかありません。今の時代、宇宙までも管理しようとする人間が、正しく霊性(魂魄こんぱく)を持たなければ、行き着く先は、暗黒であり、破壊でしかありません。頤(い)とは、【食を養う】という意味を持ち、それは自分のことだけでなく、【自分以外の物を養う】ことでもあるのです。
上に立つものは部下を養う、親は子を養う、人は万象を養うのです。そのためにも自らの霊性(魂魄こんぱく)を正しく保たなければならないのです。
山雷頤(さんらいい))のイメージ
頤。貞吉。観頤自求口実。
「頤」の時、貞正にして吉。自らを求め、養う目的を見定める。
「頤」とは食糧
食べ物を食べる時,咀嚼(そしゃく)して食べ物を食べます。人は、体を維持するために食糧を食べ、魂魄(こんぱく)を維持するために気を得なければなりません。体と心は栄養のある食で養うため、自然の中で樹木と対話し、鳥や動物と対話して、心に得たものを咀嚼(そしゃく)し自らを育てるのが、この時期です。
山雷頤(さんらいい)の六爻
山雷頤(さんらいい)の六爻は、下から、順番に、初爻、二爻。三爻、四爻、五爻、六爻の並びが、初陽、二陰、三陰、四陰、五陰、上陽と並んだ状態を、山雷頤(さんらいい)といいます
六爻の位置は社会的位置を表しています。 初爻は庶民、二爻は士、三爻は大夫(たいふ)、四爻は公卿(こうけい)五爻は、君主、上爻は隠居した君主、あるいは知識人となります。
上陽 すべてのものを養い、頼りにされる。責任が重く、艱難(かんなん)も多いが、吉 大いに喜びがある。大河を渡る冒険や危険があっても、刃長に行く。
五陰 常道に反しているが、己を虚しく上に従い、そのまま変わることがなければ、吉、大河を渡るような冒険は控えること、
四陰 目下の者に養われるが、吉 大いに下に恩恵を施すからである、虎視眈々(こしたんたん)欲望を持っても咎めはない。
三陰 野望に駆られ、(養】の道に反する、凶 十年間 時を待って動くな もし動けば、害になる。
二陰 目下の者に養われ、常道に反している。それだけならまだ良いが、友人の妻子に色目を使い奪う いたずらに高きを望み 凶
初陽 自分が食べているにも関わらず、隣の食べ物によだれを垂らす、自分の美質を置き去りに、他人を羨む、日本のことわざい、隣の芝生がよく見えるとあるが、必要以上の欲を持ち、凶
64卦
周易 上経 30卦
NO | 六爻 | 上卦 | 下卦 |
1 | 乾為天(けんいてん) | ☰ 乾 | ☰ 乾 |
2 | 坤為地(こんいち) | ☷ 坤 | ☷ 坤 |
3 | 水雷屯(すいらいちゅん) | ☵ 坎 | ☳ 震 |
4 | 山水蒙(さんすいもう) | ☶ 艮 | ☵ 坎 |
5 | 水天需(すいてんじゅ) | ☵ 坎 | ☰ 乾 |
6 | 天水訟(てんすいしょう) | ☰ 乾 | ☵ 坎 |
7 | 地水師(ちすいし) | ☷ 坤 | ☵ 坎 |
8 | 水地比(すいちひ) | ☵ 坎 | ☷ 坤 |
9 | 風天小畜(ふうてんしょうちく) | ☴ 巽 | ☰ 乾 |
10 | 天沢履(てんたくり) | ☰ 乾 | ☱ 兌 |
11 | 地天泰(ちてんたい) | ☷ 坤 | ☰ 乾 |
12 | 天地否(てんちひ) | ☰ 乾 | ☷ 坤 |
13 | 天火同人(てんかどうじん) | ☰ 乾 | ☲ 離 |
14 | 火天大有(かてんたいゆう) | ☲ 離 | ☰ 乾 |
15 | 地山謙(ちざんけん) | ☷ 坤 | ☶ 艮 |
16 | 雷地豫(らいちよ) | ☳ 震 | ☷ 坤 |
17 | 沢雷随(たくらいずい) | ☱ 兌 | ☳ 震 |
18 | 山風蠱(さんぷうこ) | ☶ 艮 | ☴ 巽 |
19 | 地沢臨(ちたくりん) | ☷ 坤 | ☱ 兌 |
20 | 風地観(ふうちかん) | ☴ 巽 | ☷ 坤 |
21 | 火雷噬嗑(からいぜいこう) | ☲ 離 | ☳ 震 |
22 | 山火賁(さんかひ) | ☶ 艮 | ☳ 震 |
23 | 山地剥(さんちはく) | ☶ 艮 | ☷ 坤 |
24 | 地雷復(ちらいふく) | ☷ 坤 | ☳ 震 |
25 | 天雷无妄(てんらいむぼう) | ☰ 乾 | ☳ 震 |
26 | 山天大畜(さんてんたいちく) | ☶ 艮 | ☰ 乾 |
27 | 山雷頤(さんらいい) | ☶ 艮 | ☳ 震 |
28 | 沢風大過(たくふうたいか) | ☱ 兌 | ☴ 巽 |
29 | 坎為水(かんいすい) | ☵ 坎 | ☵ 坎 |
30 | 離為火(りいか) | ☲ 離 | ☲ 離 |
周易 下経 34卦
NO | 六爻 | 上卦 | 下卦 |
31 | 沢山咸(たくざんかん) | ☱ 兌 | ☶ 艮 |
32 | 雷風恒(らいふうこう) | ☳ 震 | ☴ 巽 |
33 | 天山遯(てんざんとん) | ☰ 乾 | ☶ 艮 |
34 | 雷天大壮(らいてんたいそう) | ☳ 震 | ☰ 乾 |
35 | 火地晋(かちしん) | ☲ 離 | ☷ 坤 |
36 | 地火明夷(ちかめいい) | ☷ 坤 | ☲ 離 |
37 | 風火家人(ふうかかじん) | ☴ 巽 | ☲ 離 |
38 | 火沢睽(かたくけい) | ☲ 離 | ☱ 兌 |
39 | 水山蹇(すいざんけん) | ☵ 坎 | ☶ 艮 |
40 | 雷水解(らいすいかい) | ☳ 震 | ☵ 坎 |
41 | 山沢損(さんたくそん) | ☶ 艮 | ☱ 兌 |
42 | 風雷益(ふうらいえき) | ☴ 巽 | ☳ 震 |
43 | 沢天夬(たくてんかい) | ☱ 兌 | ☰ 乾 |
44 | 天風姤(てんぷうこう) | ☰ 乾 | ☴ 巽 |
45 | 沢地萃(たくちすい) | ☱ 兌 | ☷ 坤 |
46 | 地風升(ちふうしょう) | ☷ 坤 | ☴ 巽 |
47 | 沢水困(たくすいこん) | ☱ 兌 | ☵ 坎 |
48 | 水風井(すいふうせい) | ☵ 坎 | ☴ 巽 |
49 | 沢火革(たくかかく) | ☱ 兌 | ☲ 離 |
50 | 火風鼎(はふうてい) | ☲ 離 | ☴ 巽 |
51 | 震為雷(しんいらい) | ☳ 震 | ☳ 震 |
52 | 艮為山(ごんいさん) | ☶ 艮 | ☶ 艮 |
53 | 風山漸(ふうさんぜん) | ☴ 巽 | ☶ 艮 |
54 | 雷沢帰妹(らいたくきまい) | ☳ 震 | ☱ 兌 |
55 | 雷火豊(らいかほう) | ☳ 震 | ☲ 離 |
56 | 火山旅(かざんりょ) | ☲ 離 | ☶ 艮 |
57 | 巽為風(そんいふう) | ☴ 巽 | ☴ 巽 |
58 | 兌為沢(だいたく) | ☱ 兌 | ☱ 兌 |
59 | 風水渙(ふうすいかん) | ☴ 巽 | ☵ 坎 |
60 | 水沢節(すいたくせつ) | ☵ 坎 | ☱ 兌 |
61 | 風沢中孚(ふうたくちゅうふ) | ☴ 巽 | ☱ 兌 |
62 | 雷山小過(らいざんしょうか) | ☳ 震 | ☶ 艮 |
63 | 水火既済(すいかきせい) | ☵ 坎 | ☲ 離 |
64 | 火水未済(かすいびせい) | ☲ 離 | ☵ 坎 |