地火明夷(ちかめいい)
六四卦の三十六番目に位置するのが、地火明夷(ちかめいい)離卦☲(りけ)の上に坤卦☷(こんけ)が乗っかっている形になります。
上卦の坤卦☷(こんけ)です。坤卦は陰中の陰を表し、家族の中では母を表して、八卦においては地を表します。
下卦は、離卦☲(りけ)です。離卦は両サイドに陽爻を持ち陰爻が陽爻に包まれた形となり、火を表し、家族のなかでは次女を表します。
上卦の坤卦☷(こんけ)です。大地の生命の源としての母ですが、眼下に分厚い雲を落としてしまえば、次女は、月明かりの下で薄暗に中で、灯す光は、自身の周りを照らすだけの明るさしかありません。
天に上る光は全体を輝かせ命の息吹を実らせますが、母親の意見と対立してしまう次女の手元の光は、自身を照らすだけにとどまっています。ここにおいて、互いに私が正しいと意見を対立させた時、そこには、それぞれに、正義や正しさ、愛情の表し方があります。
しかし、時として、正しさが、障害になる場合もあります。【私が正しいのだから、この正しさに従え』と言ってみても、その正しさが、正しいからと言って、正しくないことは、いくらでもあります。これが常識だと思っていても、国が違えば常識が、非常識になり、時代が変われば、常識として思っていたことが、通じないことは、いくらでもあるのです。
故に、ここでは、自らを省みる必要が起こってきます。
空に昇る月に雲がかかり、どんなに明るく照らそうとしても、その愛の光が届かないので、次女は、自分自身の手元にある弱い光で、まわりを照らすしかないのです。陰爻が強く現れる地火明夷(ちかめいい)の卦は、自らの立場を見つめる絶好の機会であり、親の愛が届いていないと、自らの手元しか照らさない自らを見つめる機会であると言えます。
明夷とは、
太陽が地中に隠れた状態を明夷(めいい)といいます。
このようなときは、内面を見つめ、内に明知(めいち)を育て、徳(とく)を育てる期間といえます。世の中には、多くの教えがあり、家庭では、親が子供に言い聞かせる教えがあり、学校に行けば、先生から多くの勉強や指導を受け、部活においては、体の鍛錬や、心の持ち方を指導されます。
世の中には、貧困から抜け出す経済学や、会社での、技術、社会での姿勢を教え込まれるでしょう。それらの教えは、私にとってとても大切なことであると認識します。それは、人生をより明るく、知恵深くしてくれます。無知でいれば、発展もありませんが、知識と知恵は、私の人生を豊かにしてくれるものになるでしょう。
日が沈み、隠れた夜のときに、より内面に磨きをかける良い時期として、地火明夷(ちかめいい)は示していると言えます。
地火明夷(ちかめいい)のイメージ
明夷。利艱貞
「明夷」の時は、困難に耐 えて貞正を守るのが良い
「明夷」は光を失い暗さが増す
自分の正義が通じず、やっていたことが評価されないので、希望をなくしやる気をなくし、自暴自棄におちいる衰運の相が出ます。どんな環境であろうとも日々の思いの蓄積で選ぶ道です。このような状態に陥るのは、自分の日々の習慣に影響されます。自らが正しいことは、正しいといっても、正しいことではない場合があります。
地火明夷(ちかめいい)の六爻
地火明夷(ちかめいい)の六爻は、下から順番に、初爻、二爻。三爻、四爻、五爻、六爻の並びが、初陰、二陰、三陰、四陽、五陰、上陽と並んだ状態を、地火明夷(ちかめいい)といいます。
六爻の位置は社会的位置を表しています。 初爻は庶民、二爻は士、三爻は大夫(たいふ)、四爻は公卿(こうけい)五爻は、君主、上爻は隠居した君主、あるいは知識人となります。
上陰 明徳なく、天子は四海に君臨するが、道を失い、ついには、転落する。
五陰 箕子は明(みん)をくらまして、志操(しそう)を貫板が聞き入れられず、恨みを買う。
【箕子(きし、生没年不詳)は、中国殷王朝の政治家。文武丁の子で帝乙の弟。帝辛(紂王)の叔父にあたる。箕の国に封じられたので箕子と呼ばれる。】
四陰 暗黒支配者の内部にいて、その腹中を知り尽くす。悪の元凶は善にはなり得ない。環境から逃れる術を持ちなさい。速やかに逃れよ。
三陽 明が夷(やぶ)れ 暗黒の支配する。断固として、起き上がり、敵の支配を一掃する心に悪魔が宿ることが無いように、清め、明夷の元凶を捉えて、志を果たす。しかし、性急(せいきゅう)に正そうとしてはならない。
二陰 明が夷(やぶ)れ 暗黒の支配が進む。左股(ひだりまた)【人にとっての重要な部分】を傷つけられる、しかし、従順であれ、端正(姿勢が整っている、目的がぶれない)であるから、部下さえ強靭なら救われる。吉
初陽 明が夷(やぶ)れ、暗黒が支配する。そのかすかな兆(きざ)しを見たならば、速やかに、その群れを離れ、翼を収めることだ、暗黒の世に、禄(神の幸い)を食(は)むのは義に反する。そのこと故に、飢えるかもしれない、行く先ざきで非難されるかもしれないが、気に止むことはない。
64卦
周易 上経 30卦
NO | 六爻 | 上卦 | 下卦 |
1 | 乾為天(けんいてん) | ☰ 乾 | ☰ 乾 |
2 | 坤為地(こんいち) | ☷ 坤 | ☷ 坤 |
3 | 水雷屯(すいらいちゅん) | ☵ 坎 | ☳ 震 |
4 | 山水蒙(さんすいもう) | ☶ 艮 | ☵ 坎 |
5 | 水天需(すいてんじゅ) | ☵ 坎 | ☰ 乾 |
6 | 天水訟(てんすいしょう) | ☰ 乾 | ☵ 坎 |
7 | 地水師(ちすいし) | ☷ 坤 | ☵ 坎 |
8 | 水地比(すいちひ) | ☵ 坎 | ☷ 坤 |
9 | 風天小畜(ふうてんしょうちく) | ☴ 巽 | ☰ 乾 |
10 | 天沢履(てんたくり) | ☰ 乾 | ☱ 兌 |
11 | 地天泰(ちてんたい) | ☷ 坤 | ☰ 乾 |
12 | 天地否(てんちひ) | ☰ 乾 | ☷ 坤 |
13 | 天火同人(てんかどうじん) | ☰ 乾 | ☲ 離 |
14 | 火天大有(かてんたいゆう) | ☲ 離 | ☰ 乾 |
15 | 地山謙(ちざんけん) | ☷ 坤 | ☶ 艮 |
16 | 雷地豫(らいちよ) | ☳ 震 | ☷ 坤 |
17 | 沢雷随(たくらいずい) | ☱ 兌 | ☳ 震 |
18 | 山風蠱(さんぷうこ) | ☶ 艮 | ☴ 巽 |
19 | 地沢臨(ちたくりん) | ☷ 坤 | ☱ 兌 |
20 | 風地観(ふうちかん) | ☴ 巽 | ☷ 坤 |
21 | 火雷噬嗑(からいぜいこう) | ☲ 離 | ☳ 震 |
22 | 山火賁(さんかひ) | ☶ 艮 | ☳ 震 |
23 | 山地剥(さんちはく) | ☶ 艮 | ☷ 坤 |
24 | 地雷復(ちらいふく) | ☷ 坤 | ☳ 震 |
25 | 天雷无妄(てんらいむぼう) | ☰ 乾 | ☳ 震 |
26 | 山天大畜(さんてんたいちく) | ☶ 艮 | ☰ 乾 |
27 | 山雷頤(さんらいい) | ☶ 艮 | ☳ 震 |
28 | 沢風大過(たくふうたいか) | ☱ 兌 | ☴ 巽 |
29 | 坎為水(かんいすい) | ☵ 坎 | ☵ 坎 |
30 | 離為火(りいか) | ☲ 離 | ☲ 離 |
周易 下経 34卦
NO | 六爻 | 上卦 | 下卦 |
31 | 沢山咸(たくざんかん) | ☱ 兌 | ☶ 艮 |
32 | 雷風恒(らいふうこう) | ☳ 震 | ☴ 巽 |
33 | 天山遯(てんざんとん) | ☰ 乾 | ☶ 艮 |
34 | 雷天大壮(らいてんたいそう) | ☳ 震 | ☰ 乾 |
35 | 火地晋(かちしん) | ☲ 離 | ☷ 坤 |
36 | 地火明夷(ちかめいい) | ☷ 坤 | ☲ 離 |
37 | 風火家人(ふうかかじん) | ☴ 巽 | ☲ 離 |
38 | 火沢睽(かたくけい) | ☲ 離 | ☱ 兌 |
39 | 水山蹇(すいざんけん) | ☵ 坎 | ☶ 艮 |
40 | 雷水解(らいすいかい) | ☳ 震 | ☵ 坎 |
41 | 山沢損(さんたくそん) | ☶ 艮 | ☱ 兌 |
42 | 風雷益(ふうらいえき) | ☴ 巽 | ☳ 震 |
43 | 沢天夬(たくてんかい) | ☱ 兌 | ☰ 乾 |
44 | 天風姤(てんぷうこう) | ☰ 乾 | ☴ 巽 |
45 | 沢地萃(たくちすい) | ☱ 兌 | ☷ 坤 |
46 | 地風升(ちふうしょう) | ☷ 坤 | ☴ 巽 |
47 | 沢水困(たくすいこん) | ☱ 兌 | ☵ 坎 |
48 | 水風井(すいふうせい) | ☵ 坎 | ☴ 巽 |
49 | 沢火革(たくかかく) | ☱ 兌 | ☲ 離 |
50 | 火風鼎(はふうてい) | ☲ 離 | ☴ 巽 |
51 | 震為雷(しんいらい) | ☳ 震 | ☳ 震 |
52 | 艮為山(ごんいさん) | ☶ 艮 | ☶ 艮 |
53 | 風山漸(ふうさんぜん) | ☴ 巽 | ☶ 艮 |
54 | 雷沢帰妹(らいたくきまい) | ☳ 震 | ☱ 兌 |
55 | 雷火豊(らいかほう) | ☳ 震 | ☲ 離 |
56 | 火山旅(かざんりょ) | ☲ 離 | ☶ 艮 |
57 | 巽為風(そんいふう) | ☴ 巽 | ☴ 巽 |
58 | 兌為沢(だいたく) | ☱ 兌 | ☱ 兌 |
59 | 風水渙(ふうすいかん) | ☴ 巽 | ☵ 坎 |
60 | 水沢節(すいたくせつ) | ☵ 坎 | ☱ 兌 |
61 | 風沢中孚(ふうたくちゅうふ) | ☴ 巽 | ☱ 兌 |
62 | 雷山小過(らいざんしょうか) | ☳ 震 | ☶ 艮 |
63 | 水火既済(すいかきせい) | ☵ 坎 | ☲ 離 |
64 | 火水未済(かすいびせい) | ☲ 離 | ☵ 坎 |