易は天地の理 法則性のある学問
両儀は四象を生じ、四象は八卦を生ず。
易(えき)は伏羲が天地の理(ことわり)を察して四象、八卦(はっけ)をつくり,文王孔子が、後にこれを重ねて六十四卦として完成させました。卦は陽を表わす「-」と陰を表わす「—」の二種類の爻(こう)がつくられる。八卦とは三つの爻を組み合わせてつくられました。
繋辞上伝〈けいじでん)にある言葉に「易に太極あり。これ両義生ず 両義は四象を生じ、四象は八卦を生ず」とあります。
無極から太極 四象 八卦と混ざり 分かれて 変化しました。それは、まだ出会っていない二人がある時出会って情熱と愛を混ぜ合わせ 体を重ねて混ざりあい 生まれてくる赤ちゃんは二人の分身でもありますが、全く違う人格でもあります。私達の生命の営みも最初は無極から生まれ両義を通過して2つの違った気が混ざった宇宙の法則が流れているので、同じことをして、新しい命を生みながら歴史を繋いできました。
私達の生活様式から 宇宙の中にある。私達の間近にある法則性、絶対変わることのない規律性をみつけてきました。
古代中国の書物『易経』繋辞上伝より
「易有太極 是生兩儀 兩儀生四象 四象生八卦 八卦定吉凶 吉凶生大業」
「易に太極あり。これを両儀(陰陽)を生ず。両儀は四象を生じ、四象は八卦を生ず。八卦は吉凶を定め、吉凶は大業を生ず。」
伏羲の先天八卦には、無極から太極が発生し 二気が四象、八卦を作り出しています。
また、孔子の八卦において八卦の吉凶を決めていきますが、その判断は各個人により大きな仕事ができるというわけです。
人間の人体構成 卵子の分裂
人間の人体構成においても、精子(陽)と卵子(陰)の結合から出発して、一が二、二が四、四が八、八が十六、十六が三十二、三十二が六十四分裂となり子宮着床に至ことは知られています。
お母さんのおなかに入ったお父さんの細胞が、小さな卵の中で結合し、受胎分裂を繰り返し、子宮内に定着し生命として育つ不思議は、無極から太極が発生し 二気が四象を作りだす陰陽を実体的にあらわしていますし、もっと小さく。
お母さんの卵子もお父さんの精子もDNAは2重構造になっていて、受胎することで、両方のDNAがつながり、新しい命へとつながっていくのです。
四象の特徴 陽爻、陰爻の重なり。
兩儀生四象、両義より四象が生じました。これは、陰と陽という夫婦から、陰を土台として生まれた二人の姉妹と陽を土台として生まれた二人の兄弟 合わせて四人が両義(陰陽)から生まれました。それぞれ、陽を土台として陽爻の上に陽爻の強い陽としての夏。陽爻の上に陰爻がのった秋 陰爻の上に陰爻が乗った陰のつよい冬。陰爻の上に陽爻が乗った、寒さが和らぎ芽吹く春という季節の映り変わりの中のエネルギーを表しています。
太陽、老陽といいます。陽爻の上に陽爻
陽中の陽を表し、熱い夏の太陽をイメージするとわかるように、非常に熱いエネルギーを蓄えています。夏
太陰、老陰と言います。陰爻の上に陰爻
陰中の陰を表し、真冬の極寒をイメージするとわかります。 非常に冷たいエネルギーを蓄えています。冬
少陰と言います。陽爻の上に陰爻
陽中の陰を表します。夏の暑さから、涼しい秋口に流れる 非常に清々しいエネルギーを蓄えています。秋
少陽と言います。陰爻の上に陽爻
陰中の陽を表します。 冬の寒さから芽吹く季節えと変わる 非常に嬉々としたエネルギーを蓄えています。 春
朱雀 白虎 青龍 玄武の四象
私たちの身近なところでいうと、国技館などでよく見る相撲の土俵上の大屋根の四方に赤 白 青 黒 の房が結ばれ 四象を表し 朱雀 白虎 青龍 玄武 を表しています。日本は古来よりの神事にのっとり様々なことを行ってきましたし、今でも日本を象徴する天皇家の神事においても多くが陰陽五行、四象にかかわっています。また、奈良にある高松塚古墳 キトラ古墳内の壁画にも東西南北に四象を表す 朱雀 白虎 青龍 玄武 が描かれているのは有名な話です。
このように、日本という国の生活には、古来より四象が溶け込んだ生活をしている民族といえます。
中華思想として出てきたものに思われますが、私たちの周りには自然と多くの法則がかさなりあって現れます。これは、中国だけでも、日本だけでもなく宇宙全体 地球全体 世界全体を取り囲み 私たちの周辺で起こる現象を調べて、探求した結果、太極が陰陽二気に分かれ また、混ざり合うことで四象をあらわしたと言えるのです。
「易経」に記された四象(ししょう)は、宇宙と人間の関係性を読み解く鍵とされていますが、これは単なる自然現象の解釈ではなく、古代中国の哲学的な世界観に基づいています。古くから四象は、天体の運行や季節の移り変わりだけでなく、人間の生活や精神的な発展とも深く結びついているとされました。
道教と四象
道教の文献では、四象は天地万物の調和を保つために不可欠な存在として扱われています。たとえば、唐代に編纂された『道蔵』では、四象が「宇宙の骨組み」とも表現されており、天地の運行に合わせて調和が保たれているとされています。
道教の思想において、四象は宇宙を構成する陰陽の根源的なエネルギーが変化し、さまざまな形で現れると考えられました。
この考え方は、古代の天文学や暦学にも影響を与え、四象は一年の循環にあわせた時間の区切りとして使われました。四象が生まれる順番や、陰陽の強さによるエネルギーの流れは、当時の農作業の計画や日常生活にも深く関わっていたのです。
四象と「黄帝内経」
四象の思想は、医学の分野にも取り入れられました。中国の伝統医学書である『黄帝内経』では、四象を季節と体調のバランスに結びつけており、人体が自然のエネルギーと共に調和することで健康が保たれるとされています。この書では、各四象に対して特定の身体の働きや臓器が対応し、特に春と秋の移り変わりが、生命力の増減に大きく影響すると考えられました。
たとえば、春の「少陽」は新しいエネルギーが湧き上がる時期とされ、心臓の活動が活発になるとされました。一方、冬の「太陰」は静かに休むべき時期とされ、腎臓の働きが重要になるとされています。このように、四象のエネルギーは、単なる自然の観察だけでなく、体と心の健康を維持するための指針としても使われてきたのです。
四象と仏教 – 時の流れと「因果律」
四象は仏教にも影響を与え、「因果律」との関連で説明されることもあります。仏教では、あらゆるものに原因と結果があり、そのサイクルが四象の概念と結びつくとされます。これは「生・住・異・滅」というサイクルで、四象に例えられます。
- 生(しょう) – 春の少陽に相当し、芽吹きや成長を表す。
- 住(じゅう) – 夏の太陽にあたり、盛り上がりや安定の段階。
- 異(い) – 秋の少陰に似て、変化が生まれる時期。
- 滅(めつ) – 冬の太陰にあたり、静かに終わりに向かう時期。
この四象と因果律のサイクルにより、すべてのものが変化し、再生し、成長していくことが説かれています。この教えは、自然の一部としての自分たちの存在に対する理解を深め、人生や心のあり方に対する哲学的な知見を与えてくれます。
日本の四象と陰陽道
日本でも、四象は古代から陰陽道(おんみょうどう)の中で重要な要素として取り入れられてきました。陰陽道の儀式や呪術では、四象の方角が神聖なエネルギーの通り道とされていました。たとえば、平安時代には宮廷で方角を重視した儀式が行われ、朱雀・白虎・青龍・玄武が守護する方向として用いられた記録が残っています。
また、平安時代に成立した『土御門書』では、四象がその季節ごとに対応する神霊として描かれており、日本の風土や自然に合わせた陰陽五行の考え方が根づいていることがわかります。奈良時代から平安時代にかけては、四象は人々の生活に密接にかかわる概念であり、現代にまでその影響が続いていると考えられます。