天火同人(てんかどうじん)
六四卦十三番目に位置するのが、天火同人(てんかどうじん)です。次女 ☲ 離卦(りけ)の上に、父 ☰ 乾卦(けんけ)が乗っかった卦となります。
上卦は、乾卦☰(けんけ)です。乾卦は陽中の陽を表し、天を表し、家族の中では父を表しています。
下卦は、離卦☲(りけ)です。離卦は両サイドに陽爻を持ち陰爻が陽爻に包まれた形となり、火を表し、家族のなかでは次女を表します。
乾卦(けんけ)は天を表し、離卦(りけ)は火を表します。天も上にあり上を目指しますし、火はその天に向かって燃え上がることを常とします。常に高みにある天と常に高みを目指す火は、同じ目的、同じ目標を持つ同志といえます。天火同人の最初に、「同人、野においてす。亨(とお)る 大川を渡るに利よし」と始まります。野とは隠れる場所もなく四方八方から見られる立場であるといえます。 乾卦(けんけ)もその行動は善であるため公にすべてのものを白日(はくじつ)にし、離卦(りけ)の次女は、美しく燃え上がる炎で、人々に暖かみを与えます。昼は陽の光で人々を温め、夜に於いては、その炎が周りを照らし、人々を癒やします。
野に立てば 周りから注目を受けることを表しています。また、次女である離卦は、その美しい容貌を見せて人々に喜びを与える対象となっています。
乾卦と離卦は合わさることで互いが公であることを表現し、公人(こうじん)として目的を一つとすることで、人々の行く方向を定めます。天につばすれば己に変えるというように、天はどんなときも善であるため、目的、目標を同じにする火もまた善に向かっているといえます。
天と火はともに協力することを人に教え、人は、協力関係を持てば、昼に陽の光、夜に炎の光に照らされ、善に向かうことを知ります。それは結束した愛であり、包まれてゆく癒やしの愛をしるようになります・。
同人とは
よく同人誌というのはサークル活動など、志(こころざし)を同じくしている仲間同士が、つくりあげた本として出しているものを大学生が出していたりします。
「同人」とは、このような同志(どうし)を言います。烏合の衆のように、ただ集まるだけと言った意味合いと違い、お互いのいい部分を認め、刺激しあいながら切磋琢磨しあう。豊かな知性と実力を身につけた組織といえます。 同志という場合は私的なことを言うのではなく、全体的に盛り上げていく公的、人間関係での立場を優先し協力しあっている姿を強調します。そこには個性の衝突もありますが、私的感情ではなく、相手を思い、愛のある衝突です。相手を蹴落とすのではなく。相手の位置と立場をより引き上げ、組織全体が引き上がるため、喜びと感動が必ず訪れます。
天火同人(てんかどうじん)のイメージ
同人。于野。亨。利渉大川。利君子貞。
「同人」の時、同志が、集まれば通じる。大川を渡っても良い。君子は貞正であれば良い
「 同人」は、同じ価値を持つ。
正しきことをしているのであれば、顔を上げることで、人の評価を受け、仲間が増えます。価値観の共有を持ち、協力しながら、大川を渡ることができます。個人の力を望んでいません。悪においては党を組み、協力すると悪を行うことができますが、リーダーは、善行を前提として行うのが吉です。
天火同人(てんかどうじん)の六爻
天火同人(てんかどうじん)の六爻は、下から順番に、初爻、二爻。三爻、四爻、五爻、六爻の並びが、初陽、二陰、三陽、四陽、五陽、上陽と並んだ状態を天火同人(てんかどうじん)といいます。
六爻の位置は社会的位置を表しています。 初爻は庶民、二爻は士、三爻は大夫(たいふ)、四爻は公卿(こうけい)五爻は、君主、上爻は隠居した君主、あるいは知識人となります。
上陽 孤立無援(こりつむえん)同志を求めて無人の地をさまようが悔いはない。
五陽 同志とともに進みたい。しかし、その道を妨げる者が多い。自らも妥協(だきょう)することができない為、孤独に泣き叫ぶが、時をすぎれば喜びが訪れる。妨害者には、同士を集め打ち勝ち、協力者を集めよ。
四陽 城壁まで攻め寄ったが、進退極まる。野心を捨てて、正道に帰れば吉。
三陽 身の程を知らない。野心に見を燃やし、伏兵を草むらに潜ませるが 敵は組織されバランスの取れた強い兵。いつまで立っても進むことができない。
二陰 狭い縁故(えんこ)だけで集まる。
初陽 門を出て、広く同志を求めれば、咎めはない。
64卦
周易 上経 30卦
NO | 六爻 | 上卦 | 下卦 |
1 | 乾為天(けんいてん) | ☰ 乾 | ☰ 乾 |
2 | 坤為地(こんいち) | ☷ 坤 | ☷ 坤 |
3 | 水雷屯(すいらいちゅん) | ☵ 坎 | ☳ 震 |
4 | 山水蒙(さんすいもう) | ☶ 艮 | ☵ 坎 |
5 | 水天需(すいてんじゅ) | ☵ 坎 | ☰ 乾 |
6 | 天水訟(てんすいしょう) | ☰ 乾 | ☵ 坎 |
7 | 地水師(ちすいし) | ☷ 坤 | ☵ 坎 |
8 | 水地比(すいちひ) | ☵ 坎 | ☷ 坤 |
9 | 風天小畜(ふうてんしょうちく) | ☴ 巽 | ☰ 乾 |
10 | 天沢履(てんたくり) | ☰ 乾 | ☱ 兌 |
11 | 地天泰(ちてんたい) | ☷ 坤 | ☰ 乾 |
12 | 天地否(てんちひ) | ☰ 乾 | ☷ 坤 |
13 | 天火同人(てんかどうじん) | ☰ 乾 | ☲ 離 |
14 | 火天大有(かてんたいゆう) | ☲ 離 | ☰ 乾 |
15 | 地山謙(ちざんけん) | ☷ 坤 | ☶ 艮 |
16 | 雷地豫(らいちよ) | ☳ 震 | ☷ 坤 |
17 | 沢雷随(たくらいずい) | ☱ 兌 | ☳ 震 |
18 | 山風蠱(さんぷうこ) | ☶ 艮 | ☴ 巽 |
19 | 地沢臨(ちたくりん) | ☷ 坤 | ☱ 兌 |
20 | 風地観(ふうちかん) | ☴ 巽 | ☷ 坤 |
21 | 火雷噬嗑(からいぜいこう) | ☲ 離 | ☳ 震 |
22 | 山火賁(さんかひ) | ☶ 艮 | ☳ 震 |
23 | 山地剥(さんちはく) | ☶ 艮 | ☷ 坤 |
24 | 地雷復(ちらいふく) | ☷ 坤 | ☳ 震 |
25 | 天雷无妄(てんらいむぼう) | ☰ 乾 | ☳ 震 |
26 | 山天大畜(さんてんたいちく) | ☶ 艮 | ☰ 乾 |
27 | 山雷頤(さんらいい) | ☶ 艮 | ☳ 震 |
28 | 沢風大過(たくふうたいか) | ☱ 兌 | ☴ 巽 |
29 | 坎為水(かんいすい) | ☵ 坎 | ☵ 坎 |
30 | 離為火(りいか) | ☲ 離 | ☲ 離 |
周易 下経 34卦
NO | 六爻 | 上卦 | 下卦 |
31 | 沢山咸(たくざんかん) | ☱ 兌 | ☶ 艮 |
32 | 雷風恒(らいふうこう) | ☳ 震 | ☴ 巽 |
33 | 天山遯(てんざんとん) | ☰ 乾 | ☶ 艮 |
34 | 雷天大壮(らいてんたいそう) | ☳ 震 | ☰ 乾 |
35 | 火地晋(かちしん) | ☲ 離 | ☷ 坤 |
36 | 地火明夷(ちかめいい) | ☷ 坤 | ☲ 離 |
37 | 風火家人(ふうかかじん) | ☴ 巽 | ☲ 離 |
38 | 火沢睽(かたくけい) | ☲ 離 | ☱ 兌 |
39 | 水山蹇(すいざんけん) | ☵ 坎 | ☶ 艮 |
40 | 雷水解(らいすいかい) | ☳ 震 | ☵ 坎 |
41 | 山沢損(さんたくそん) | ☶ 艮 | ☱ 兌 |
42 | 風雷益(ふうらいえき) | ☴ 巽 | ☳ 震 |
43 | 沢天夬(たくてんかい) | ☱ 兌 | ☰ 乾 |
44 | 天風姤(てんぷうこう) | ☰ 乾 | ☴ 巽 |
45 | 沢地萃(たくちすい) | ☱ 兌 | ☷ 坤 |
46 | 地風升(ちふうしょう) | ☷ 坤 | ☴ 巽 |
47 | 沢水困(たくすいこん) | ☱ 兌 | ☵ 坎 |
48 | 水風井(すいふうせい) | ☵ 坎 | ☴ 巽 |
49 | 沢火革(たくかかく) | ☱ 兌 | ☲ 離 |
50 | 火風鼎(はふうてい) | ☲ 離 | ☴ 巽 |
51 | 震為雷(しんいらい) | ☳ 震 | ☳ 震 |
52 | 艮為山(ごんいさん) | ☶ 艮 | ☶ 艮 |
53 | 風山漸(ふうさんぜん) | ☴ 巽 | ☶ 艮 |
54 | 雷沢帰妹(らいたくきまい) | ☳ 震 | ☱ 兌 |
55 | 雷火豊(らいかほう) | ☳ 震 | ☲ 離 |
56 | 火山旅(かざんりょ) | ☲ 離 | ☶ 艮 |
57 | 巽為風(そんいふう) | ☴ 巽 | ☴ 巽 |
58 | 兌為沢(だいたく) | ☱ 兌 | ☱ 兌 |
59 | 風水渙(ふうすいかん) | ☴ 巽 | ☵ 坎 |
60 | 水沢節(すいたくせつ) | ☵ 坎 | ☱ 兌 |
61 | 風沢中孚(ふうたくちゅうふ) | ☴ 巽 | ☱ 兌 |
62 | 雷山小過(らいざんしょうか) | ☳ 震 | ☶ 艮 |
63 | 水火既済(すいかきせい) | ☵ 坎 | ☲ 離 |
64 | 火水未済(かすいびせい) | ☲ 離 | ☵ 坎 |