沢天夬(さわてんかい)
六四卦の四三番目に位置するのが、沢天夬(さわてんかい)です。乾卦☰(けんけ)上に兌卦☱(だけ)乗っかっている形になります。
上卦は、兌卦☱(だけ)です。兌卦(だけ)は陽爻を下に陰爻を上に据えた卦で、家族においては 末娘 三女を表して八卦においては、沢を表します。
下卦の乾卦☰(けんけ)です。乾卦は陽中の陽を表し、家族の中では父を表し、八卦においては、天を表します。
上卦は、兌卦☱(だけ)は、少女、末娘であり、初潮もまだ気ていない幼子ではあるが、父親はそんな幼い娘が可愛くて仕方がない。自分が積み上げてきた功労や、実績も、末娘が立ち上がるための基盤になる。血の流れていない少女を立てるのに、血を流すことはない。正しい行動を示してこそ、幼子は、父親を信じ、その父子の関係を強固にしてくれます。暴力や殺戮は、一時の恐怖においての支配ですが、愛における支配は、永遠に続くのです。
決断する時は、習慣ですが、その決断に至る関係性が重要になります。ただ一人たてば、そこに支援者は現れません。しかし、決断に至るまでに、基盤を固め、その決断を行う場合は、穏やかに、行うのです。慌てて行動を起こすことは、破壊を生みます
決断において、強引であってはいけないのです。幼い娘を持ち上げて、上に立てるのも、その手は柔らかく。施(ほどこ)しをちらしてなお、富を益す人もあり、与えるのを惜しんで、ジリ貧になる人ありと言われるように、割断を謝れば、結果は、正反対となります。今、必要を与える決断のときです。建寧に与えれば、与えるもの以上の結果がついてきます。
夬(かい)とは、
夬とは、決潰(けっかい)決裂を意味します。重大なケテ弾をする場合にこの沢天夬(さわてんかい)は現れます。上爻が陰爻一本で、下に連なる陽爻五本、を抑えてけている形の表すことは、独裁者が、世論を無視して、圧政を敷いている形です。
この独裁者を排除する意味を持ち、剛毅(ごうき)な精神で、排除を行えば、人々は喜び、政権は和らぐのである。その行動は、不純な動機で行ってはならない、事を起こすにしても、暴力や、血を呼び込む行動に走ってはならない。そのためには、足場を固め、決意の実行を行うのが良い。
沢天夬(さわてんかい)のイメージ
夬。揚于王庭。孚号有厲。告自邑。不利即戒。利有攸往。
「夬」の時、直接、朝廷 で不満を訴えても危うい。まず、決行。武力を持ちいらない。進んで良い
「夬」は分ける、決める
決めごとに対し焦って行った決断は多くの修正を必要とします。決意、決断において、遅すぎることも、早すげることもありません、心が決める決断は、怒りや憤慨では解決しません。落ち着いて、平静を持ち決めれば、大きく決まるが、せこせこすれば小さく決まります。自らを分別する分けるというのは、何が良く、何が悪いのかと分けてはっきりした位置で決めれば、聡明な決断ができます。
沢天夬(さわてんかい)の六爻
沢天夬(さわてんかい)の六爻は、下から順番に、初爻、二爻。三爻、四爻、五爻、六爻の並びが、初陽、二陽、三陽、四陽、五陽、上陰と並んだ状態を、沢天夬(さわてんかい)といいます。
六爻の位置は社会的位置を表しています。 初爻は庶民、二爻は士、三爻は大夫(たいふ)、四爻は公卿(こうけい)五爻は、君主、上爻は隠居した君主、あるいは知識人となります。
上陰 助けを求めても、来ない。余命幾ばくもない。結局は、凶
五陽 陰湿な土地にはびこる山牛蒡(ごぼう)思っきり引っこ抜キトリ、中道をいけば、咎められない。
四陽 尻の皮が擦りむけ、歩くこともおぼつかない。不安にグズグズとして動かない。大衆をリードしていけば、悔いはないのだが、人の意見に左右され、優柔不断さが惜しまれる。
三陽 決意が、顔に現れるようでは、凶 思っきりよく豪雨の中にただ一人飛び出して、濡れ鼠、味方に、叱られるが、結局咎めはない。
二陽 前途を憂いて、同士に呼びかけ、夜中に、不意の襲撃を受ける事はあるが、心配に及ばない。
初陽 歩みを進めることは、立派ですが、正しく歩まないのは、ただの無謀、勝算なく進んでも、失敗するだけだ、咎めを受ける
64卦
周易 上経 30卦
NO | 六爻 | 上卦 | 下卦 |
1 | 乾為天(けんいてん) | ☰ 乾 | ☰ 乾 |
2 | 坤為地(こんいち) | ☷ 坤 | ☷ 坤 |
3 | 水雷屯(すいらいちゅん) | ☵ 坎 | ☳ 震 |
4 | 山水蒙(さんすいもう) | ☶ 艮 | ☵ 坎 |
5 | 水天需(すいてんじゅ) | ☵ 坎 | ☰ 乾 |
6 | 天水訟(てんすいしょう) | ☰ 乾 | ☵ 坎 |
7 | 地水師(ちすいし) | ☷ 坤 | ☵ 坎 |
8 | 水地比(すいちひ) | ☵ 坎 | ☷ 坤 |
9 | 風天小畜(ふうてんしょうちく) | ☴ 巽 | ☰ 乾 |
10 | 天沢履(てんたくり) | ☰ 乾 | ☱ 兌 |
11 | 地天泰(ちてんたい) | ☷ 坤 | ☰ 乾 |
12 | 天地否(てんちひ) | ☰ 乾 | ☷ 坤 |
13 | 天火同人(てんかどうじん) | ☰ 乾 | ☲ 離 |
14 | 火天大有(かてんたいゆう) | ☲ 離 | ☰ 乾 |
15 | 地山謙(ちざんけん) | ☷ 坤 | ☶ 艮 |
16 | 雷地豫(らいちよ) | ☳ 震 | ☷ 坤 |
17 | 沢雷随(たくらいずい) | ☱ 兌 | ☳ 震 |
18 | 山風蠱(さんぷうこ) | ☶ 艮 | ☴ 巽 |
19 | 地沢臨(ちたくりん) | ☷ 坤 | ☱ 兌 |
20 | 風地観(ふうちかん) | ☴ 巽 | ☷ 坤 |
21 | 火雷噬嗑(からいぜいこう) | ☲ 離 | ☳ 震 |
22 | 山火賁(さんかひ) | ☶ 艮 | ☳ 震 |
23 | 山地剥(さんちはく) | ☶ 艮 | ☷ 坤 |
24 | 地雷復(ちらいふく) | ☷ 坤 | ☳ 震 |
25 | 天雷无妄(てんらいむぼう) | ☰ 乾 | ☳ 震 |
26 | 山天大畜(さんてんたいちく) | ☶ 艮 | ☰ 乾 |
27 | 山雷頤(さんらいい) | ☶ 艮 | ☳ 震 |
28 | 沢風大過(たくふうたいか) | ☱ 兌 | ☴ 巽 |
29 | 坎為水(かんいすい) | ☵ 坎 | ☵ 坎 |
30 | 離為火(りいか) | ☲ 離 | ☲ 離 |
周易 下経 34卦
NO | 六爻 | 上卦 | 下卦 |
31 | 沢山咸(たくざんかん) | ☱ 兌 | ☶ 艮 |
32 | 雷風恒(らいふうこう) | ☳ 震 | ☴ 巽 |
33 | 天山遯(てんざんとん) | ☰ 乾 | ☶ 艮 |
34 | 雷天大壮(らいてんたいそう) | ☳ 震 | ☰ 乾 |
35 | 火地晋(かちしん) | ☲ 離 | ☷ 坤 |
36 | 地火明夷(ちかめいい) | ☷ 坤 | ☲ 離 |
37 | 風火家人(ふうかかじん) | ☴ 巽 | ☲ 離 |
38 | 火沢睽(かたくけい) | ☲ 離 | ☱ 兌 |
39 | 水山蹇(すいざんけん) | ☵ 坎 | ☶ 艮 |
40 | 雷水解(らいすいかい) | ☳ 震 | ☵ 坎 |
41 | 山沢損(さんたくそん) | ☶ 艮 | ☱ 兌 |
42 | 風雷益(ふうらいえき) | ☴ 巽 | ☳ 震 |
43 | 沢天夬(たくてんかい) | ☱ 兌 | ☰ 乾 |
44 | 天風姤(てんぷうこう) | ☰ 乾 | ☴ 巽 |
45 | 沢地萃(たくちすい) | ☱ 兌 | ☷ 坤 |
46 | 地風升(ちふうしょう) | ☷ 坤 | ☴ 巽 |
47 | 沢水困(たくすいこん) | ☱ 兌 | ☵ 坎 |
48 | 水風井(すいふうせい) | ☵ 坎 | ☴ 巽 |
49 | 沢火革(たくかかく) | ☱ 兌 | ☲ 離 |
50 | 火風鼎(はふうてい) | ☲ 離 | ☴ 巽 |
51 | 震為雷(しんいらい) | ☳ 震 | ☳ 震 |
52 | 艮為山(ごんいさん) | ☶ 艮 | ☶ 艮 |
53 | 風山漸(ふうさんぜん) | ☴ 巽 | ☶ 艮 |
54 | 雷沢帰妹(らいたくきまい) | ☳ 震 | ☱ 兌 |
55 | 雷火豊(らいかほう) | ☳ 震 | ☲ 離 |
56 | 火山旅(かざんりょ) | ☲ 離 | ☶ 艮 |
57 | 巽為風(そんいふう) | ☴ 巽 | ☴ 巽 |
58 | 兌為沢(だいたく) | ☱ 兌 | ☱ 兌 |
59 | 風水渙(ふうすいかん) | ☴ 巽 | ☵ 坎 |
60 | 水沢節(すいたくせつ) | ☵ 坎 | ☱ 兌 |
61 | 風沢中孚(ふうたくちゅうふ) | ☴ 巽 | ☱ 兌 |
62 | 雷山小過(らいざんしょうか) | ☳ 震 | ☶ 艮 |
63 | 水火既済(すいかきせい) | ☵ 坎 | ☲ 離 |
64 | 火水未済(かすいびせい) | ☲ 離 | ☵ 坎 |