中華五術

陰陽五行思想が示す自然と人間の調和 – 色、音、そして宇宙の秩序

五行と五つのエネルギー

陰陽五行説は、古代中華において、人々の生活において深く浸透していました。

自然界の色を陰陽五行で分けると、木気は、青、火気は、赤色、土気は、黄色、金気は、白、水気は黒になります。
古代中華において、五気に宿る色を感知して決めています。これは、森羅万象は木、火、土、金、水という、五気(五つのエネルギー)からなるという思想からきています。

私たちの生活からすれば、自然界には様々な色があり、五色にとどめるのは無理があるんじゃないのと思われるでしょう。ごもっとも、その通りです。

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色と五行 – 自然の秩序を見出した中国思想

古代中国の陰陽五行思想は、自然界の様々な事象を五つの要素(木、火、土、金、水)によって体系化し、人間社会との調和を説いてきました。その中でも特に注目されるのが、五つのエネルギーと五つの基本色との対応関係です。

木気は青、火気は赤、土気は黄、金気は白、水気は黒と定められたのは、古代中国人が自然界の色彩を細やかに観察し、その中に一定の法則性を見出していったからに他なりません。たとえば、木々の青々とした葉や、炎の赤色、土の黄土色、金属の白さ、そして水面の黒さといった、私たちにも馴染み深い色彩が、五行のエネルギーとして体系化されたのです。

この色彩と五行の対応関係は、自然と人間の調和を説く陰陽思想の根幹をなすものでもあります。なぜなら、私たち人間の視覚器官が、まさにこの五色を認識する能力を備えているからです。つまり、自然界に存在する色彩の秩序が、人間の生理的能力とも深く結びついているのです。

古代中国人は、このような自然界の秩序と人間の特性の呼応関係に着目し、宇宙の理を見出していったのだと考えられます。たとえば、青い空、緑の樹木、赤い太陽、黄色い大地、そして黒い夜空といった、私たちの生活に深く関わる自然の色彩が、まさに五行のエネルギーに対応しているのは、まさに必然的なことなのかもしれません。

なぜ、陰陽五行説で、木気は青なのか

様々な色の中で、陰陽五行説でいう木気は、なぜ、青なのでしょう。それを説明する前に、光の三原色というのを皆さんはご存じでしょうか。光には、原色としての色は、3つしかありません。光の三原色は、何色でしょうか。赤青緑です。この赤青緑が重なりが薄い状態は白や金になります。


陽的作用が強いと白く輝いて見えます。逆に重なり合い混ざった状態、つまりは陰的状態が強くなるとどうなりますか、黒くなります。色が薄まれば白く、重なると黒くなります。

それは、物に光が強く当たるとすべてが白や黄金色になり、物に隠れた部分は黒くなり、影が黒く見えます。視線を川の上に向けてみると、光が当たる水面(みなも)はきらきら輝き、白く黄金色に見えますが、渕のような静まり返った場所や、沼のような場所は光が届かない沼の底などは黒く見えます。

こうした自然界に或る基本的な色を見て、五色に分けました。その中で、木気の表すものは木です、大樹です。大樹を表すものは、何でしょう。青々とした色。緑といった色です。自然界を陰陽五行の五色のエネルギーで分けたとき、木気は青になったはずです。

それは、人が感じる根本的な見方として、誰しもが、そうだなと思う基本色を何千年という歴史の中で探り出してきて、決めたというのもあります。

なぜ、陰陽五行は木気から始まるのか、

陰陽五行において、いつも、木火土金水と順番に言います。言い方として、金水木火土 でも、水木火土金でもいいのではないかと考えるのは私だけでしょか、

漢字でも左右(さゆう)と言いますが右左(うさ)でもいいのではないか、上下(じょうげ)も下上(げじょう)でもいいのではないかと考えるのは、私だけでしょうか、人は自由を求めていろいろな事を変えたがります。

しかし自由というのは、宇宙の決められた法則性を守ってこその自由であって、法則性や一貫性を破ってまで自由と叫ぶのは、ただのデストロイヤー 破壊者にすぎません。

陰陽五行において、木気から火気 火気から土気 土気から金気 金気から水気というのは、陽気より陰気に順番を置き、土気を中央に置くために当てられた法則性の故でした。そう言った思想が無いと、順番が壊れて、説明ができなくなります。そのため。土気を中央に置くのに都合よく 木気から読んだ方がいいと考えました。

陰陽五行の法則性は人のためにある。

易経の繋辞上伝(けいじじょうでん)には
天一地二 天三地四 天五地六 天七地八 天九地十
天の数 五数 地の数 五数 五位相得て各々合うことあり

森羅万象の数字は五数にまとめられています。木火土金水という五数です。その五数を循環させながら物事を見てきました。森羅万象は、陰陽五行によってまとめられました。
天地合わせて10数になるというのは、皆さんの手を見てください。

右手に指は何本ありますか。五本です。では、左手には指が何本ありますか、やはり五本です。左手が五本、右手が五本 陰陽合わせて十本です。この人の体の中で、物をつかみ道具を使うのは、手の指です。手の指で数えられるもので、森羅万象をまとめてきたのは、体のつくりと森羅万象が同化しているとみるからです。

この思想は、様々なものに反映されています。まず古代の巨人の盤古は、自らの死によって森羅万象を造りました。風水思想を見ても、明堂となる場所は、女性の産道に似ています。龍脈は人の気脈にいています。
これは天地人の三才観においても基本人が中心です。そのわけは、すべての法則性宇宙の規則は、人のためにあるからです。

たとえ美しいもの、素晴らしいものがあったとしても、人が美しい、素晴らしいと感動しなければ、価値を決めるのは誰でしょうか、犬や猫が、自然を見て素晴らしいと感じるでしょうか、感動して夕陽をひたすら見ているでしょうか、人がいてこその森羅万象なので、森羅万象は、人に似ているのです。

宇宙の法則は、人の体に似せて作られています。逆に言えば 宇宙の法則を全部人に入れ込んだといってもいいのですが、宇宙の法則の完成体として作ったのが、伏羲と女媧 男と女 兄弟 夫婦でした。つまり宇宙が望んだ、最終目的は夫婦であるため、陰陽五行説の基本は、人を表していると言えます。

当たり前に思うことが真理である。


人がご飯を食べることにおいても、習慣的に食べます。排泄においても、人は生理的現象として、たとえ飲み食いしていなくても、排泄をします。当たり前のように行います。

私たちの生活において自然環境は当たり前のように存在します。この自然の理(ことわり)の中で生きています。しかし私たちは、呼吸をすること、朝、太陽が昇ること、夜、星がきらめき、月が夜に夕闇を照らしてくれるおかげで、まったっくの暗闇ではない夜を過ごせます。

人のために存在する森羅万象

森羅万象のこの自然界は、人間の生活になくてはならないものばかりが存在します。私たちの目は、色を感じ取り、「これは、青、これは黄色、これは、赤」と色がわかります。

動物が見る自然界の色と人が見る自然界の色は違います。昆虫の見る自然界の色と人が見る色は違います。逆に、動物たちに色は必要だったのでしょうか、昆虫に色が必要だったのでしょうか。


色とりどりのこの世界は、非常に美しく。驚くほど多彩な色どりに分かれています。美しいコントラストを判断できるのは、人間の目が同調して、美しさを感じます。

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五声音楽に宿る生命の鼓動

陰陽五行思想は、自然界の色彩だけでなく、音楽の世界にも深く関わっています。それが五声(宮、商、角、徴、羽)の概念です。

五声は、中国古来の呂旋法(ろせんほう)と呼ばれる音階体系に基づくものです。西洋音楽で一般的なドレミファソラシドとは異なり、宮、商、角、徴、羽という五つの音名で構成されています。この五声は、まさに五行のエネルギーと対応しているのです。

木気は宮、火気は商、土気は角、金気は徴、水気は羽と当てはめられているのです。つまり、自然界の秩序を体現する五行のエネルギーが、音楽の世界にも反映されているのです。

ここでも、人間の感覚器官である耳の働きが重要な役割を果たしています。私たちは、この五声の音階によって音楽を認識し、感動を覚えるのです。つまり、自然界の根源的な振動が、人間の聴覚を通して音楽となって表出しているのだと言えるのです。

そして何より重要なのは、この五声の音楽が生命の息吹を宿しているということです。なぜなら、陰陽五行思想においては、全ての存在に生命エネルギーが宿っていると考えられているからです。

つまり、五声の音楽は、木、火、土、金、水という生命のリズムを体現しているのです。私たち人間が音楽を通して感動するのは、まさにそこに宿る生命の鼓動を感じ取っているからなのかもしれません。音楽は、自然の摂理と人間の感性が出会う場所なのです。

五行と五声バランス。

陰陽五行において、木火土金水の相生、相克、比和の関係は、何度かお話ししました。私たちの生きている森羅万象の世界は、生命にあふれていて、動物や植物や、人が死んでも、それは、森羅万象の世界においては、死ではなく別物に変化しただけです。
存在すべてに生命というエネルギーは宿ります。そうであるため、陰陽五行の五声にも生命エネルギーは存在します。

五行と五声

五声は楽音を五行に当てはめたことを言います。音楽においても、西洋音楽で最も広く用いられている楽譜である五線譜があるように、音階を五行に当てたのが、五声です。

音階は呂旋法「ろせんほう」が用いられ、日本古楽器の演奏、雅楽(がらく)にも用いられています。 音階は五音音階ドレミソラとなり西洋楽器で奏でるドレミファソラシドとは違います。音階表記も、宮(きゅう)・商(しょう)・角(かく)・徴(ち)・羽(う)となります。

陰陽五行と人間社会 – 調和と秩序の源泉

陰陽五行思想が、自然界の色彩と音楽の世界に深く関わっているのは、それが人間社会の根幹をなす思想だからに他なりません。

なぜなら、陰陽五行思想の根底にあるのは、宇宙の理法を人間中心的に捉えるという発想だからです。つまり、自然界の秩序が人間の身体や生活様式に投影されているのだと考えられているのです。

たとえば、人の両手に五本ずつの指があるのは、まさに五行の数と一致しています。また、風水思想では、人間の身体構造が自然界の「明堂」に見立てられ、人間が宇宙の縮図だと考えられています。

このように、陰陽五行思想は、人間を宇宙の理法の完成形として捉えているのです。つまり、人間の営みこそが、自然界の秩序の最高峰なのだと考えられているのです。

このような人間中心主義的な視点から、陰陽五行思想は、人間社会の調和と秩序を追求してきました。たとえば、五行の相生・相剋の原理は、社会制度の基盤となり、家族や組織の理想的な在り方を示唆するものでした。

また、天地人の三才観においても、人間が中心に位置づけられています。なぜなら、自然界の美しさや素晴らしさを見出し、価値判断するのは、究極的には人間なのだと考えられているからです。つまり、人間こそが、宇宙の理法の最終的な完成体なのだと捉えられているのです。

こうした人間中心主義的な陰陽五行思想は、私たちの生活の隅々にまで浸透しており、今日に至っても根強い影響力を持ち続けています。それは、自然と人間の調和を追求し、秩序ある社会を実現しようとする古代中国人の叡智の結晶なのかもしれません。

「生命の根源「陰陽五行」が教える自己理解と人生の指針 生命力というエネルギー 宇宙の始まりは480億年前に出発し、宇宙の至るところで星ができて 今もものすごいスピードで膨張し続けてい...
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