沢山咸(たくざんかん)
六四卦の三十一番目に位置するのが、沢山咸(たくざんかん)。艮卦☶(ごんけ)の上に兌卦☱(だけ)がが乗っかっている形になります。
上卦は、兌卦☱(だけ)です。兌卦(だけ)は陽爻を下に陰爻を上に据えた卦で、家族においては 末娘 三女を表して八卦においては、沢を表します。
下卦は、艮卦☶(ごんけ)です。艮卦は陰爻2段の上に陽爻が乗った形で、家族においては末っ子 三男をあらわします。八卦においては山を表しています。
兌卦☱(だけ)は八卦においては、末娘、幼い女の子を表し。山から流れる沢を表しています、また、艮卦☶(ごんけ)は八卦においては末っ子 幼い男の子を表し、山、山脈といった大地から盛り上がり、自然の起伏を示していて、静かに流れる沢と共存し、互いに必要とする存在として兄弟愛を育んでいます。
たまに喧嘩をして、沢が荒れたり、山が荒れたりしますが、そういった環境の変化を通じて、互いに成長し、喜びの春にはきれいな花々を咲かせ、夏には、豊かな水が沢を流れ、新緑の山に彩りを与え、 落ち葉が落ちる秋の時期には、紅葉が沢を赤く染めて 冬の寒い時期には、つららの連なる沢と一緒に、深々と積もる雪を豊かに積もらせて、互いの存在に大切な喜びと、兄弟愛を育てて、日々を過ごしています。
咸(かん)とは
咸(かん)とは感じること、
心が響き合うことです、メトロノームを叩いて、別のメトロノームが同調するように、心が共鳴する、心が揺れるという人の感情を表現する言葉になります。
私達人間は、感情で左右されることも多く、朝清々しく起きて家を出たとしても、満員電車に揺られ会社についた頃にはヘトヘトであったり、アフター5以後に、楽しみがあると、早くに仕事を切り上げるために、モチベーションがアゲアゲだったりと、感情に左右されます。
感情の似た者同士は、着る服が似ていたり、行動パターンが似てくるといった事がよく起こります。双子の兄弟は、一般の兄弟関係より強く、感情パターンが似たりします、こういった、人の感情的行動を咸(かん)は、表しています。潜在意識の中心核と言えるのが、人間の本心であり、良心と言えます。どんなに良い行き方をしていても、毎日の生活の中で、小さな嘘が出てきたり、思ってもみない言葉が口から出てあとも取りできないとき、潜在意識は、反省もするし、良い方向に向かわせるための行動を起こさせます。
人間関係において、口先だけで相手を引きつけようとしても、自分の内なる潜在意識、内心(ないしん)は自分の着飾った部分は、いずれはメッキが剥がされてあからさまになります。たしかに、人生において、本心では「このようなことは、いけないこと」とわかっていても、恋愛に於いてブレーキが壊れ、本心に蓋(ふた)をして突き進んでしまうことを、多く見かけます。そこには、一時的な快楽を幸福と思う、魔性の業(わざ)が存在します。
お釈迦様が菩提樹の下で、悟ったときも美しい女性のマーラが誘い誘惑したり、わたしたちの心のうちには、悪なる方向に引っ張り込む魔性が存在します。普通に生きていれば、こういった感情は起きませんが、人が生きるのに、重要な分岐点に立ったとき、この魔性はむくむくと頭を上げて、蛇の二枚舌のごとくに言葉巧みに人を惑わせます。それはあたかも、自分の内心が言っているが如くに自分をまどわせます。
人が幸せを願っていても、不幸な方向へ引っ張って行こうとする、魔性が存在します。
人は、こういった感情に左右されやすいい存在であるが故に、易経の中では、絶えず魔「ま」に対してはまり込まないように再三注意する言葉が出てきます。
天道勸善懲惡,凡人為善得福,為惡則得禍。
☆ 天は善を罰するように忠告し、人間は善のために福を受け取り、悪は不幸を得る。
悪いことをすれば 罰せられ、いいことをすれば、福を受けるということです。
沢山咸(たくざんかん)のイメージ
咸。亨。利貞。取女吉。
「咸」の時、通じる。貞正がよい。嫁をもらうには吉
「咸」は、ひびく、心が揺れる
相思相愛になる感情は、誠実でなければならない。人が人として礁には、個人では生きられない、家庭を作り、村を作り、町の中で社会がつくられる。長い時間同じ環境にいるのに、口先だけでは、測れない感情の揺れがある。貞操を守った男女の感情は、お互いの中に愛という感情を作り出すが、天地万象の中に、愛があり、お互いを見つめる中で喜びをえる。天地が響きあう卦である。
沢山咸(たくざんかん)の六爻
沢山咸(たくざんかん)の六爻は、下から、順番に、初爻、二爻。三爻、四爻、五爻、六爻の並びが、初陰、二陰、三陽、四陽、五陽、上陰と並んだ状態を、沢山咸(たくざんかん)の六爻と言います。
六爻の位置は社会的位置を表しています。 初爻は庶民、二爻は士、三爻は大夫(たいふ)、四爻は公卿(こうけい)五爻は、君主、上爻は隠居した君主、あるいは知識人となります。
上陰 あご、ほほ、舌に感じる、軽薄に、自分が感じたままにしゃべくり回る。
五陽 背肉に感じる。感覚に引きずられることなく。公平無私(こうへいむし)で悔いは無いが大きな感動もない。
四陽 固く自己を守るべき、ソワソワと落ち着きがなければ、周りには、似たものが集まるだけ、大きな力になれないので、影響力もない。
三陽 股に感じる。人にとってはとても大切な部位、みだらな思いで使えば、最悪を招く。主体性を持つなら良いが、流されて許せば、男でも女でも、吝(りん)※とりかえしがつかないさま)
二陰 ふくらはぎに感じる。ふくらはぎに感じる程度ではあるが、気づいて走れば、無駄になる、ゆっくり歩いて感触を確かめれば基地であり、害は無い。
初陰 人から受ける情をなんとなく感じる、体の部位で言うなら、足の爪先に何となく感じる程度、人のとの心の触れ合いを求めているが、なお微弱、動くまでには至らない、
沢山咸(たくざんかん)の卦における表現は、男女の愛情表現、体の各部位に触れる愛撫を下から上にすすんでいく、足の愛撫から始まり、唇を重ねるキスや愛撫に至る内容とも言える。
64卦
周易 上経 30卦
NO | 六爻 | 上卦 | 下卦 |
1 | 乾為天(けんいてん) | ☰ 乾 | ☰ 乾 |
2 | 坤為地(こんいち) | ☷ 坤 | ☷ 坤 |
3 | 水雷屯(すいらいちゅん) | ☵ 坎 | ☳ 震 |
4 | 山水蒙(さんすいもう) | ☶ 艮 | ☵ 坎 |
5 | 水天需(すいてんじゅ) | ☵ 坎 | ☰ 乾 |
6 | 天水訟(てんすいしょう) | ☰ 乾 | ☵ 坎 |
7 | 地水師(ちすいし) | ☷ 坤 | ☵ 坎 |
8 | 水地比(すいちひ) | ☵ 坎 | ☷ 坤 |
9 | 風天小畜(ふうてんしょうちく) | ☴ 巽 | ☰ 乾 |
10 | 天沢履(てんたくり) | ☰ 乾 | ☱ 兌 |
11 | 地天泰(ちてんたい) | ☷ 坤 | ☰ 乾 |
12 | 天地否(てんちひ) | ☰ 乾 | ☷ 坤 |
13 | 天火同人(てんかどうじん) | ☰ 乾 | ☲ 離 |
14 | 火天大有(かてんたいゆう) | ☲ 離 | ☰ 乾 |
15 | 地山謙(ちざんけん) | ☷ 坤 | ☶ 艮 |
16 | 雷地豫(らいちよ) | ☳ 震 | ☷ 坤 |
17 | 沢雷随(たくらいずい) | ☱ 兌 | ☳ 震 |
18 | 山風蠱(さんぷうこ) | ☶ 艮 | ☴ 巽 |
19 | 地沢臨(ちたくりん) | ☷ 坤 | ☱ 兌 |
20 | 風地観(ふうちかん) | ☴ 巽 | ☷ 坤 |
21 | 火雷噬嗑(からいぜいこう) | ☲ 離 | ☳ 震 |
22 | 山火賁(さんかひ) | ☶ 艮 | ☳ 震 |
23 | 山地剥(さんちはく) | ☶ 艮 | ☷ 坤 |
24 | 地雷復(ちらいふく) | ☷ 坤 | ☳ 震 |
25 | 天雷无妄(てんらいむぼう) | ☰ 乾 | ☳ 震 |
26 | 山天大畜(さんてんたいちく) | ☶ 艮 | ☰ 乾 |
27 | 山雷頤(さんらいい) | ☶ 艮 | ☳ 震 |
28 | 沢風大過(たくふうたいか) | ☱ 兌 | ☴ 巽 |
29 | 坎為水(かんいすい) | ☵ 坎 | ☵ 坎 |
30 | 離為火(りいか) | ☲ 離 | ☲ 離 |
周易 下経 34卦
NO | 六爻 | 上卦 | 下卦 |
31 | 沢山咸(たくざんかん) | ☱ 兌 | ☶ 艮 |
32 | 雷風恒(らいふうこう) | ☳ 震 | ☴ 巽 |
33 | 天山遯(てんざんとん) | ☰ 乾 | ☶ 艮 |
34 | 雷天大壮(らいてんたいそう) | ☳ 震 | ☰ 乾 |
35 | 火地晋(かちしん) | ☲ 離 | ☷ 坤 |
36 | 地火明夷(ちかめいい) | ☷ 坤 | ☲ 離 |
37 | 風火家人(ふうかかじん) | ☴ 巽 | ☲ 離 |
38 | 火沢睽(かたくけい) | ☲ 離 | ☱ 兌 |
39 | 水山蹇(すいざんけん) | ☵ 坎 | ☶ 艮 |
40 | 雷水解(らいすいかい) | ☳ 震 | ☵ 坎 |
41 | 山沢損(さんたくそん) | ☶ 艮 | ☱ 兌 |
42 | 風雷益(ふうらいえき) | ☴ 巽 | ☳ 震 |
43 | 沢天夬(たくてんかい) | ☱ 兌 | ☰ 乾 |
44 | 天風姤(てんぷうこう) | ☰ 乾 | ☴ 巽 |
45 | 沢地萃(たくちすい) | ☱ 兌 | ☷ 坤 |
46 | 地風升(ちふうしょう) | ☷ 坤 | ☴ 巽 |
47 | 沢水困(たくすいこん) | ☱ 兌 | ☵ 坎 |
48 | 水風井(すいふうせい) | ☵ 坎 | ☴ 巽 |
49 | 沢火革(たくかかく) | ☱ 兌 | ☲ 離 |
50 | 火風鼎(はふうてい) | ☲ 離 | ☴ 巽 |
51 | 震為雷(しんいらい) | ☳ 震 | ☳ 震 |
52 | 艮為山(ごんいさん) | ☶ 艮 | ☶ 艮 |
53 | 風山漸(ふうさんぜん) | ☴ 巽 | ☶ 艮 |
54 | 雷沢帰妹(らいたくきまい) | ☳ 震 | ☱ 兌 |
55 | 雷火豊(らいかほう) | ☳ 震 | ☲ 離 |
56 | 火山旅(かざんりょ) | ☲ 離 | ☶ 艮 |
57 | 巽為風(そんいふう) | ☴ 巽 | ☴ 巽 |
58 | 兌為沢(だいたく) | ☱ 兌 | ☱ 兌 |
59 | 風水渙(ふうすいかん) | ☴ 巽 | ☵ 坎 |
60 | 水沢節(すいたくせつ) | ☵ 坎 | ☱ 兌 |
61 | 風沢中孚(ふうたくちゅうふ) | ☴ 巽 | ☱ 兌 |
62 | 雷山小過(らいざんしょうか) | ☳ 震 | ☶ 艮 |
63 | 水火既済(すいかきせい) | ☵ 坎 | ☲ 離 |
64 | 火水未済(かすいびせい) | ☲ 離 | ☵ 坎 |