天水訟(てんすいしょう)
六四卦六番目に位置するのが、天水訟(てんすいしょう)となります。天水訟(てんすいしょう)は、次男、坎 ☵の上に、父、乾☰がのっかった卦です。
上卦の乾卦☰(けんけ)です。乾卦は陽中の陽を表し、家族の中では父を表し、八卦においては、天を表します。
下卦は、坎卦☵(かんけ)です。坎卦は、陰爻で、陽爻を挟んだ形となり、家族の中では、次男を表し、八卦においては水をあらわします。
上卦の乾卦(けんけ)は天であり、父である、その父を越えようともがいているのが、下卦は、坎卦(かんけ)と言えます。乾卦(けんけ)は、天であって、広く周りを見渡し、空から雨も降らせ、坎卦(かんけ)としての次男の力の基としての水を与えていますが、
そういったエネルギーの基を与えられていることを当たり前と思い、若い次男は、自分の肉体に余りあるエネルギーを父親にぶつけて争うことを求め、天に争いを仕掛けます。
しかし、乾卦(けんけ)の性質は、陽中の陽であり、与えることに対しいつも不足を感じ、もっと与えたいと思っていても、次男である坎卦(かんけ)のプライドは、親を越えたい、親よりも立派になりたいと天を見つめて、心のうちに闘争芯を抱いているのが天水訟(てんすいしょう)となります。
訟(しょう)とは、
訟(しょう)は、孚(まこと)あり、窒(ふさ)がる 惕(おそ)れて、中(なか)すれば吉、終われば凶とあります。
訟(しょう)は、訴訟(そしょう)、裁判を意味し、対立していることを意味します。愛情のない訴訟(そしょう)は憎悪と憎しみを生みます。愛情をもって物事御当たっていかなければなりません。乾卦(けんけ)と坎卦(かんけ)天と水 父と次男という立場を踏まえたうえで、互いの矛盾 互いの相剋(そうこく)はたえず起こりうるものです。親の心子知らず、子の心、親知らずになりかねません。つまらぬ意地、プライドは、より一層の闘争を生むため、第三者を中間に立てて、どちらにも偏ることのない中正(ちゅうしょう)を求めていくことが無難と言える。
天水訟(てんすいしょう)のイメージ
訟有孚塞。惕中吉。終凶。利見大人。不利渉大川。
「 訟 」は貫けば凶、途中であきらめれば吉、大川を渡ってはならない
争いは自分に、理があると思えても、自分の了見でしか物事を判断していないため、多くが誤解や錯覚、行き違いにより発生しています。「 訟 」は貫けば凶、とあるように、何事において自我を通せば、結果は最悪。凶となります。
利見大人とは、理解ある、常識や世間が広い知識人や、博学のある人物に意見を求めよということです。又聞く姿勢は謙虚であることが望ましく、忠告には、天の声、天の意志(乾卦(けんけ))の願いがあり、坎卦(かんけ)次男が効く態度をとれば、すべてが有益であるため、特に、親子関係においての争いは、修復不可能な立場におちいるため、不利渉大川。無理やり物事を進める行為は、大河を渡る行為であるため、大河を渡らない方が良いと言っています。
天水訟(てんすいしょう)の六爻
天水訟(てんすいしょう)の六爻は、下から順番に、初爻、二爻。三爻、四爻、五爻、六爻の並びが、初陰、二陽、三陰、四陽、五陽、上陽と並んだ状態を天水訟(てんすいしょう)といいます。
六爻の位置は社会的位置を表しています。 初爻は庶民、二爻は士、三爻は大夫(たいふ)、四爻は公卿(こうけい)五爻は、君主、上爻は隠居した君主、あるいは知識人となります。
上陽 訴訟(そしょう)において勝ち、栄光のベルトを勝ち得るが、長くは続かない。もともと、訴訟(そしょう)において勝ち得た栄光など、尊(たっと)ぶに値しないことだ。
五陽 訴訟(そしょう)において大吉。第三者を仲介に入れ、 訴訟(そしょう)において大吉。第三者を仲介に入れ、どちらにも偏ることのない中正にいるからだ。
四陽 敗訴する。退いて、天命に従い、態度を改めて、正道に甘んじていれば吉である。
三陰 現在の待遇に甘んじている時期。 現在の待遇に甘んじている時期。慎み低姿勢を堅く守っていれば、危ういが吉である。我を通し、華々し成功を願い出すぎたことをしてはいけない。時として、目上に従うことも必要。
二陽 敗訴する、下の者が、道に反して上と争うだろう。災いになるのは当然の成り行きであろう。争いを避けて自己のテリトリーを守っていれば災いは起きないものだ。
初陰 争いは長引かせてはいけない。互いに適当なところで折り合いをつけ負ければ紛争が続く、多少の小競り合いはあるが、道理を通すか、折れるかである。
64卦
周易 上経 30卦
NO | 六爻 | 上卦 | 下卦 |
1 | 乾為天(けんいてん) | ☰ 乾 | ☰ 乾 |
2 | 坤為地(こんいち) | ☷ 坤 | ☷ 坤 |
3 | 水雷屯(すいらいちゅん) | ☵ 坎 | ☳ 震 |
4 | 山水蒙(さんすいもう) | ☶ 艮 | ☵ 坎 |
5 | 水天需(すいてんじゅ) | ☵ 坎 | ☰ 乾 |
6 | 天水訟(てんすいしょう) | ☰ 乾 | ☵ 坎 |
7 | 地水師(ちすいし) | ☷ 坤 | ☵ 坎 |
8 | 水地比(すいちひ) | ☵ 坎 | ☷ 坤 |
9 | 風天小畜(ふうてんしょうちく) | ☴ 巽 | ☰ 乾 |
10 | 天沢履(てんたくり) | ☰ 乾 | ☱ 兌 |
11 | 地天泰(ちてんたい) | ☷ 坤 | ☰ 乾 |
12 | 天地否(てんちひ) | ☰ 乾 | ☷ 坤 |
13 | 天火同人(てんかどうじん) | ☰ 乾 | ☲ 離 |
14 | 火天大有(かてんたいゆう) | ☲ 離 | ☰ 乾 |
15 | 地山謙(ちざんけん) | ☷ 坤 | ☶ 艮 |
16 | 雷地豫(らいちよ) | ☳ 震 | ☷ 坤 |
17 | 沢雷随(たくらいずい) | ☱ 兌 | ☳ 震 |
18 | 山風蠱(さんぷうこ) | ☶ 艮 | ☴ 巽 |
19 | 地沢臨(ちたくりん) | ☷ 坤 | ☱ 兌 |
20 | 風地観(ふうちかん) | ☴ 巽 | ☷ 坤 |
21 | 火雷噬嗑(からいぜいこう) | ☲ 離 | ☳ 震 |
22 | 山火賁(さんかひ) | ☶ 艮 | ☳ 震 |
23 | 山地剥(さんちはく) | ☶ 艮 | ☷ 坤 |
24 | 地雷復(ちらいふく) | ☷ 坤 | ☳ 震 |
25 | 天雷无妄(てんらいむぼう) | ☰ 乾 | ☳ 震 |
26 | 山天大畜(さんてんたいちく) | ☶ 艮 | ☰ 乾 |
27 | 山雷頤(さんらいい) | ☶ 艮 | ☳ 震 |
28 | 沢風大過(たくふうたいか) | ☱ 兌 | ☴ 巽 |
29 | 坎為水(かんいすい) | ☵ 坎 | ☵ 坎 |
30 | 離為火(りいか) | ☲ 離 | ☲ 離 |
周易 下経 34卦
NO | 六爻 | 上卦 | 下卦 |
31 | 沢山咸(たくざんかん) | ☱ 兌 | ☶ 艮 |
32 | 雷風恒(らいふうこう) | ☳ 震 | ☴ 巽 |
33 | 天山遯(てんざんとん) | ☰ 乾 | ☶ 艮 |
34 | 雷天大壮(らいてんたいそう) | ☳ 震 | ☰ 乾 |
35 | 火地晋(かちしん) | ☲ 離 | ☷ 坤 |
36 | 地火明夷(ちかめいい) | ☷ 坤 | ☲ 離 |
37 | 風火家人(ふうかかじん) | ☴ 巽 | ☲ 離 |
38 | 火沢睽(かたくけい) | ☲ 離 | ☱ 兌 |
39 | 水山蹇(すいざんけん) | ☵ 坎 | ☶ 艮 |
40 | 雷水解(らいすいかい) | ☳ 震 | ☵ 坎 |
41 | 山沢損(さんたくそん) | ☶ 艮 | ☱ 兌 |
42 | 風雷益(ふうらいえき) | ☴ 巽 | ☳ 震 |
43 | 沢天夬(たくてんかい) | ☱ 兌 | ☰ 乾 |
44 | 天風姤(てんぷうこう) | ☰ 乾 | ☴ 巽 |
45 | 沢地萃(たくちすい) | ☱ 兌 | ☷ 坤 |
46 | 地風升(ちふうしょう) | ☷ 坤 | ☴ 巽 |
47 | 沢水困(たくすいこん) | ☱ 兌 | ☵ 坎 |
48 | 水風井(すいふうせい) | ☵ 坎 | ☴ 巽 |
49 | 沢火革(たくかかく) | ☱ 兌 | ☲ 離 |
50 | 火風鼎(はふうてい) | ☲ 離 | ☴ 巽 |
51 | 震為雷(しんいらい) | ☳ 震 | ☳ 震 |
52 | 艮為山(ごんいさん) | ☶ 艮 | ☶ 艮 |
53 | 風山漸(ふうさんぜん) | ☴ 巽 | ☶ 艮 |
54 | 雷沢帰妹(らいたくきまい) | ☳ 震 | ☱ 兌 |
55 | 雷火豊(らいかほう) | ☳ 震 | ☲ 離 |
56 | 火山旅(かざんりょ) | ☲ 離 | ☶ 艮 |
57 | 巽為風(そんいふう) | ☴ 巽 | ☴ 巽 |
58 | 兌為沢(だいたく) | ☱ 兌 | ☱ 兌 |
59 | 風水渙(ふうすいかん) | ☴ 巽 | ☵ 坎 |
60 | 水沢節(すいたくせつ) | ☵ 坎 | ☱ 兌 |
61 | 風沢中孚(ふうたくちゅうふ) | ☴ 巽 | ☱ 兌 |
62 | 雷山小過(らいざんしょうか) | ☳ 震 | ☶ 艮 |
63 | 水火既済(すいかきせい) | ☵ 坎 | ☲ 離 |
64 | 火水未済(かすいびせい) | ☲ 離 | ☵ 坎 |