震為雷(しんいらい)
六四卦五一番目に位置するのが、震為雷(しんいらい)となります。震為雷(しんいらい)があらわす卦は、䷲ 陽爻の上に陰交が乗っかってあらわれます。
太極が二気に分かれ陰交と陽爻が重なり合い生まれました。陰交の下に安定した陽爻が支えるように鎮座し、陰交を包みこんでいますし、陰交からしてみれば、陽爻に包まれた安心感の上に成り立っています。こうした互いに寄り添う安心感が震にはあります。
震為雷(しんいらい)のイメージ
震、亨。震來虩虩。笑言啞啞。震驚百里、不喪匕鬯
「震」の時、通じる。雷が来ると恐怖するが、失笑する。雷は百里四方響いて驚くが、祭祀師は、騒がない。
イメージすることは、奮起する。打ち震える 振動
「震」は、地震、奮起 活動 ☳(震卦)が2つ重なるこの卦は、奮起、活動といった動く卦です。大きな雷は地響きをとどろかせ、大地にぶつかれば木をなぎ倒し、空に響けば閃光が輝く天地のエネルギーです。力の方向を誤れば災害を起こしますが、目標に当たれば大いなる成果を与えてくれる盛運と言えます。どんなに響く音が強くとも祭祀を行うものが驚いていては、祭事を執り行うことができません。すがすがしいほどに落ち着いて事に当たれば、物事は進んでゆきます。周りの雑音に耳を傾けず、祭りごとを進めましょう。
震卦の表す雷(かみなり)は、動くことを表しています。雷鳴は空気を揺らし、響き渡ります。何もない空に突然の雷鳴は、驚きもしますが、かと言って、すぐに起きる危険ではありません。しかし、天より響く雷鳴は、天の怒鳴り声となり、人々に畏敬の念を抱かせました。乾為天は、天は父の象徴であり、そこから生まれた震為雷(しんいらい)は、乾為天の長兄として愛を受けた存在となります。
故に震卦のもつイメージは、天から愛された長兄、雷、奮起、活動といった力を持ち合わせ、弟、妹を守る存在であるといえます。乾為天、坤為地という父母のもとに生まれ、最初の愛を受け、弟妹の声を父母に伝える役割を持っている責任もありますが、完璧化と言えばそうでもなく掛け声ばかりで、中身が伴わないこともあることを知らなければなりません。
震為雷(しんいらい)の六爻
震為雷(しんいらい)の六爻、下から順番に、初爻、二爻。三爻、四爻、五爻、六爻の並びが、初陽、二陰、三陰、四陽、五陰、上陰と並んだ状態を震為雷(しんいらい)と言います。
六爻の位置は社会的位置を表しています。 初爻は庶民、二爻は士、三爻は大夫(たいふ)、四爻は公卿(こうけい)五爻は、君主、上爻は隠居した君主、あるいは知識人となります。
上陰 雷鳴は消え去るもの。しかし、受けた恐怖に心が定まらない。こんな感情では物事が進まない。このような感情で行う祭祀は禍害をうみ凶をなす。雷は、我が家に落ちる訳では無い、隣に落ちた雷を観て恐怖し、隣人の災禍を観て自戒するなら咎めはない。親族にいざこざが起こる。
五陰 雷鳴が行き来して危険だ。しかし、恐れて往査してはならない、今行うべき祭祀を続行するため、心を落ち着かせ、逃げることなくことを行いなさい。
四陽 雷は地に落ちて、力が分かれた地中に入った雷は恐れるものではない。
三陰 雷鳴が遠のいた、もう災害はない。
二陰 雷鳴の危険がある。財産より命を得るために未練を感じてはいけない。雷鳴を聞いたらすぐ安全な場所、丘を求めなさい、7日もたてば取り戻せる。
初陽 最初とどろきわたる雷鳴に、驚き、恐怖するが、過ぎ去れば、すぐに危害を受けない安心感に、笑いが起こる。笑いは互いの距離を縮目てくれる安心感が有る。慎み天に対して畏敬の年を持っていればやがて、幸が訪れる。