風天小畜 (ふうてんしょうちく)
六四卦九番目に位置するのが、風天小畜 (ふうてんしょうちく)となります。父、☰ 乾卦(けんけ)の上に 長女☴巽卦(そんけ)が乗っかった卦となります。
上卦は、巽卦☴(そんけ)です。巽卦は、陰爻の上に陽爻が2段乗った形です。家族の中では、長女を表し、八卦においては風を表しています。
下卦は、乾卦☰(けんけ)です。乾卦は陽中の陽を表し、天を表し、家族の中では父を表しています。
風天小畜 (ふうてんしょうちく)の形は、父の上に長女が乗っている形であると同時に、天の上に風が吹いています。空の上で吹く風は、貿易風、偏西風、季節風と非常に強い風が吹いています。強い風ではありますがその風のおかげで多くの生き物が恩恵を受けますそれと同時に、多くの災害を受けます。恩恵ととらえるのか災害ととらえるかで、感情は180度変わってきます。
幼少期には、お父さんの後ろをついてまわった娘も、結婚適齢期を過ぎ、大きくなっています。母と息子の関係と違い、父と娘では、その関係しに少しの支障があります。厳格な父の愛は、厳愛(げんあい)として娘には怖い存在として映ります。娘は、結婚すれば家を離れ、別の家の嫁となり、妻となって、家の中のしきたりに従うことを知っている父は、娘に対して少々厳しいようです。そういった感情は娘にとっては、少々疎ましく、心の障害となっています。
かと言ってこの問題は、解決できないものではなく、自らの感情を成長させ、制御できる感情であり、娘は、父の感情を理解するために、自分を思う父の立場や、家庭を家庭として立てていこう行こうとする父の思いに立って思いを巡らすことで、心が成長し、自らの思いを制御できることを知ります。また、父も、娘の感情の成長を思い、娘の立場を思いやることで、年を取っていても心が成長し、育つことを思い知らされます。
このように互いに、障害である、困難であると感じたことも、お互いの立場をに思いを向けて境遇を消化して、解決していきます。そこには、お互いを知るために多くの会話があり、幼かった娘が育つ過程で、陽中の陽である父より引き継いだ陽性と女性として、陰性の陰である母の陰性を引き継いで、自分の中に存在する陽性と陰性をうまく混ぜる心の成長期間がどうしても必要でした。
「密雲あれど、雨降らず」といよいよ大雨が降るかと覚悟していたが、結局大雨も降らずに終わるように、自らの内に大問題だと思っていても、お互いをお組みて、あきらめず、あわてず、あせらず、忍耐と努力の時期が必要であることを表し、互いの内に、相手を思いやる愛があることを見つけた時、問題は、足元の小さな石です。
大きな石は、見て気をつけることができるが、小さな石につまずきやすくなります。このような小さな障害が出る前に、よくスキンシップをしていれば対応し易いことを知って、イライラせず、一歩引いて考え、思う時間を取りましょう。
小畜とは
畜の意味は、留(とど)める。蓄(たくわ)える。養(やさな)うということです。風天小畜の卦の6爻は陰爻が1爻 陽爻が5爻あり、5つの陽を1つの陰が留めることを意味します。常軌(じょうき)をいした普通ではない存在の父や夫、息子、はたまた、上司や君主を諫(いさ)める陳情(ちんじょう)する妻や娘、家臣の立場を言い表しています。
幼いもの、目下の者、という小(しょう)なるものが大(おお)なるものを収めようとするには、その権力、力に対して正攻法ではたちうちでないがゆえにそれなりの、知恵や方法がなければなりません。そこには、間違ったことであれば、勇気を持ち、正しい方向へ正す愛があってこそ動けることでもあります。呉具rも、短気を起こすことなく、憂鬱でイライラしても、丹田に力を込め、愛の一言に情をこめて放つ矢は、心を抜くでしょう。
風天小畜 (ふうてんしょうちく)のイメージ
小畜。亨。密雲不雨。自我西郊。
「小畜」の時、通じる。厚い雲があるが雨は降らない、しかし、西のほうから降りだす。
「密雲あれど、雨降らず」とあるように、雲がどんよりと押し寄せる曇天(どんてん)では有るが、降ることがないがそのままにしておけば、雨は西寄り振ります。西は白虎の守り地、白虎は家族を表し家庭内の揉め事はそのままにしておけば必ず、問題となることを示しています。ただ、問題が小さい時にその芽を見つけて収めれば、大問題にはならないでしょう。そのためには、小さな女性の力であっても、良い方法を見つけ、養い、留める時、感情的になってイライラしてはならないということです。
自我西郊。 文王自身が自らを西方の長として、「わが西郊。」と読んで意味もあるが、自らの災難において、殷(いん)の紂王(ちゅうおう)に諌言(かんげん)したが、幽閉され、幽囚(ゆうしゅう)された。この時の感情において、志がさえぎられて、万民に恩沢(おんたく)が行き渡らないことを読んだともいわれます。
風天小畜 (ふうてんしょうちく)の六爻
風天小畜 (ふうてんしょうちく)の六爻は、下から順番に、初爻、二爻。三爻、四爻、五爻、六爻の並びが、初陽、二陽、三陽、四陰、五陽、上陽と並んだ状態を、風天小畜 (ふうてんしょうちく)といいます。
六爻の位置は社会的位置を表しています。 初爻は庶民、二爻は士、三爻は大夫(たいふ)、四爻は公卿(こうけい)五爻は、君主、上爻は隠居した君主、あるいは知識人となります。
上陽 地道にコツコツと努力が積み重なり、目的はついに達成する。垂れ込めた密雲母雨をふらせ、万物を売るをしてくれる。はやりたつ夫もとどまり、婦女の常道は柔軟であれ、言い過ぎれば危うくなる。月も満月になれば、薄雲に隠れた太陽のごとく、見まごうばかりである。時期を見て、これ以上進んではナラない。これは‥凶兆(きょうちょう)でも有る、
五陽 誠意を持って、互いに手をたずさえ行く。富を独占せず、隣人と共に栄える。敵対心がない。
四陰 誠意を持って対処すれば、血を見ることはない。憂鬱は遠ざかるだろう。上のもの、大人と心を合わせて咎(とが)められない。
三陽 暴走した挙げ句に、車体と車輪がバラバラになる。いきり立ち早る夫、抑え留める妻とがにらみ合う。家をかえりみない夫が家庭を収められていない。
二陽 同じ目的、同じ方向を目指す同類と手を組み、正道(しょうどう)に帰り、中庸(ちゅうよう)を守れば、吉
☆中庸とは、極端な生き方をせずおだやかなこと。片寄らず中正なことをいいます。
初陽 はやる心を抑えて、正道(しょうどう)に帰る。そうすれば、咎(とが)めはない。
64卦
周易 上経 30卦
NO | 六爻 | 上卦 | 下卦 |
1 | 乾為天(けんいてん) | ☰ 乾 | ☰ 乾 |
2 | 坤為地(こんいち) | ☷ 坤 | ☷ 坤 |
3 | 水雷屯(すいらいちゅん) | ☵ 坎 | ☳ 震 |
4 | 山水蒙(さんすいもう) | ☶ 艮 | ☵ 坎 |
5 | 水天需(すいてんじゅ) | ☵ 坎 | ☰ 乾 |
6 | 天水訟(てんすいしょう) | ☰ 乾 | ☵ 坎 |
7 | 地水師(ちすいし) | ☷ 坤 | ☵ 坎 |
8 | 水地比(すいちひ) | ☵ 坎 | ☷ 坤 |
9 | 風天小畜(ふうてんしょうちく) | ☴ 巽 | ☰ 乾 |
10 | 天沢履(てんたくり) | ☰ 乾 | ☱ 兌 |
11 | 地天泰(ちてんたい) | ☷ 坤 | ☰ 乾 |
12 | 天地否(てんちひ) | ☰ 乾 | ☷ 坤 |
13 | 天火同人(てんかどうじん) | ☰ 乾 | ☲ 離 |
14 | 火天大有(かてんたいゆう) | ☲ 離 | ☰ 乾 |
15 | 地山謙(ちざんけん) | ☷ 坤 | ☶ 艮 |
16 | 雷地豫(らいちよ) | ☳ 震 | ☷ 坤 |
17 | 沢雷随(たくらいずい) | ☱ 兌 | ☳ 震 |
18 | 山風蠱(さんぷうこ) | ☶ 艮 | ☴ 巽 |
19 | 地沢臨(ちたくりん) | ☷ 坤 | ☱ 兌 |
20 | 風地観(ふうちかん) | ☴ 巽 | ☷ 坤 |
21 | 火雷噬嗑(からいぜいこう) | ☲ 離 | ☳ 震 |
22 | 山火賁(さんかひ) | ☶ 艮 | ☳ 震 |
23 | 山地剥(さんちはく) | ☶ 艮 | ☷ 坤 |
24 | 地雷復(ちらいふく) | ☷ 坤 | ☳ 震 |
25 | 天雷无妄(てんらいむぼう) | ☰ 乾 | ☳ 震 |
26 | 山天大畜(さんてんたいちく) | ☶ 艮 | ☰ 乾 |
27 | 山雷頤(さんらいい) | ☶ 艮 | ☳ 震 |
28 | 沢風大過(たくふうたいか) | ☱ 兌 | ☴ 巽 |
29 | 坎為水(かんいすい) | ☵ 坎 | ☵ 坎 |
30 | 離為火(りいか) | ☲ 離 | ☲ 離 |
周易 下経 34卦
NO | 六爻 | 上卦 | 下卦 |
31 | 沢山咸(たくざんかん) | ☱ 兌 | ☶ 艮 |
32 | 雷風恒(らいふうこう) | ☳ 震 | ☴ 巽 |
33 | 天山遯(てんざんとん) | ☰ 乾 | ☶ 艮 |
34 | 雷天大壮(らいてんたいそう) | ☳ 震 | ☰ 乾 |
35 | 火地晋(かちしん) | ☲ 離 | ☷ 坤 |
36 | 地火明夷(ちかめいい) | ☷ 坤 | ☲ 離 |
37 | 風火家人(ふうかかじん) | ☴ 巽 | ☲ 離 |
38 | 火沢睽(かたくけい) | ☲ 離 | ☱ 兌 |
39 | 水山蹇(すいざんけん) | ☵ 坎 | ☶ 艮 |
40 | 雷水解(らいすいかい) | ☳ 震 | ☵ 坎 |
41 | 山沢損(さんたくそん) | ☶ 艮 | ☱ 兌 |
42 | 風雷益(ふうらいえき) | ☴ 巽 | ☳ 震 |
43 | 沢天夬(たくてんかい) | ☱ 兌 | ☰ 乾 |
44 | 天風姤(てんぷうこう) | ☰ 乾 | ☴ 巽 |
45 | 沢地萃(たくちすい) | ☱ 兌 | ☷ 坤 |
46 | 地風升(ちふうしょう) | ☷ 坤 | ☴ 巽 |
47 | 沢水困(たくすいこん) | ☱ 兌 | ☵ 坎 |
48 | 水風井(すいふうせい) | ☵ 坎 | ☴ 巽 |
49 | 沢火革(たくかかく) | ☱ 兌 | ☲ 離 |
50 | 火風鼎(はふうてい) | ☲ 離 | ☴ 巽 |
51 | 震為雷(しんいらい) | ☳ 震 | ☳ 震 |
52 | 艮為山(ごんいさん) | ☶ 艮 | ☶ 艮 |
53 | 風山漸(ふうさんぜん) | ☴ 巽 | ☶ 艮 |
54 | 雷沢帰妹(らいたくきまい) | ☳ 震 | ☱ 兌 |
55 | 雷火豊(らいかほう) | ☳ 震 | ☲ 離 |
56 | 火山旅(かざんりょ) | ☲ 離 | ☶ 艮 |
57 | 巽為風(そんいふう) | ☴ 巽 | ☴ 巽 |
58 | 兌為沢(だいたく) | ☱ 兌 | ☱ 兌 |
59 | 風水渙(ふうすいかん) | ☴ 巽 | ☵ 坎 |
60 | 水沢節(すいたくせつ) | ☵ 坎 | ☱ 兌 |
61 | 風沢中孚(ふうたくちゅうふ) | ☴ 巽 | ☱ 兌 |
62 | 雷山小過(らいざんしょうか) | ☳ 震 | ☶ 艮 |
63 | 水火既済(すいかきせい) | ☵ 坎 | ☲ 離 |
64 | 火水未済(かすいびせい) | ☲ 離 | ☵ 坎 |